■ レストラン・めし屋
知識のひけらかし合いはもういい
楽しく飯を食わせろ (4)
新さん 3つ星はやっぱり高いなりにおいしいんですよ。それは当たり前なんだよ。あのセッティングで、あのスタッフで料理が出てくればうまいに決まっている。
雅子さま なんかセレモニーみたいな感じですよね。
新さん セッティングとパフォーマンスの勝負だな。
運営者 よく聞くのは、向こうのレストランは、お客様に舞台を提供しているというんです。「われわれはお客様に最高の舞台を提供するんだから、そこで演じてください」という形ですね。
新さん そうすると、その演技をするのに疲れてしまったのかもしれないね。
「もう自分で演技するのはいいから、腕前をみせて頂戴よ」って。だから、3つ星のおいしさとか居心地の良さをだんだん簡単にしていったのが1つ星とか路地裏だと思うんだ。
運営者 じゃあちょっとこれは、新さんの「路地裏」の話を聞かないといけませんね。路地裏入門お願いしますよ。
新さん 外国でもおいしいお店というのは簡単でさあ、沢山人が入ってるんだよ。それが鉄則だね。
雅子さま 人のいないところには絶対入ってはいけません。
新さん 地元の人が並んでいるところは絶対に美味しい。大体そういうところに目星をつけて、あとは店構えだな。店構えが古くて質素、そういうところはだいたい当たるよな。
それから清潔であること。日本でもいいお店というのはカウンターがピカピカに磨かれているよね。目黒の「とんき」もそう。あそこはガイジンを連れて行くとパフォーマンスに喜ぶね。セッティングにお金を払わなければならないケースというのは、ここ一番の相手を連れて行く時には必要かもしれないよな。例えば大事な取引先を接待するとか、ここ一番の締めくくりをしたいとか。
運営者 そういう場合は、こけおどしも大切なわけですね。僕らは、ディズニーランドに行っても、あの程度のこけおどしでは決して満足することができないわけじゃないですか。あれで喜んでいる人たちもそれはいっぱいいますけど、それは我々には通用しない、だから我々に通用するこけおどしを探さなくていけないんだと思うんです。