そうか! 反原発的言説に傾いたタレントは干される、地方自治体のトップは皆原発容認・・・これは、原発が土建崩壊後に残された頼みの綱の聖域的な公共事業=中央から田舎に政策的にカネを流す仕組みだからなんですね。反対のそぶりを見せている首長も、ホンネはカネを引っ張りたいだけで、本気で原発廃止なんて考えてないですよ。
地方では、カネを運用する手段がないので、税金や地銀や郵貯・農漁協に集められたカネは中央に集められて再投資するわけですが、電力という地域独占安定高値で売れる商売というのは資金の再投資先としては確実性があり魅力的です。しかも原発は水力火力に比べて漁業や周辺対策でカネをばらまきやすい。青息吐息の地方土建業にとっては命の綱とも言えるものです。もんじゅや再処理工場も、この延長上にあります。
田舎は公共事業にすがって生きているので、公共事業マンセーなのですが、原発というのは全国規模での公共事業である、だから表立った反原発はタブーにならざるを得ないのでしょう。
地方ではいまだに、公共事業依存体質がまったく是正されない根深い構造があるように、原発は全国的な規模での公共事業だから原発反対派は主流になっていません。
中央依存の地方経済は、日本の経済構造の現実です。そこに原発は根ざしている。政治家や経済人はそれをよく知っている。だから原発は根強い。
でもF1事故で、このおいしい公共事業はピンチに晒されています。「まずい、ヒジョーにまずい。これはなるべく問題ないことにしよう。健康被害なんか起こりっこない。そんなことが起きてしまっては、この原発経済の枠組みが崩れてしまう。できればなかったことにしたい。そうだっ、基準値を引き上げればいいんだ」・・・既存政党がそういう思考をたどるのは、田舎で選挙をやっていれば当然です。いまのところは報道も含めてそういう流れになっています。
ところで日本のような成熟した国における公共事業というのは、乗数効果が見込めない、タコが自分の足を食べているようなタコ足経済でしかありません。本来的には民間が自由に知恵で稼ぐ高付加価値型経済が望ましいのですが、じゃあ今言われている再生可能エネルギーはそうなのかというと、私にはそうは思えません。
菅=官が提唱するようなものは、基本的に公共事業的な枠組みから出ないと思います。役所は再分配の仕組みが保全されればそれでいいんです。一方でソフトバンクのハゲはそこに食い込んでかすりをとってやろうと目をつけたわけです。さすがです。
ですから、もし原発を日本からなくしたいのであれば、この全国規模でのタコ足経済の仕組みをそのまま残せば、比較的に原発をあきらめて順次廃止していただきやすいと思いますよ。反体制派のみなさんにはご不満が残るでしょうが。
これは「新しいアメ」作戦とでも言えるものではないでしょうか。
要するに、原発はコントロールできないことがわかったので、ちょっととりやめにして、再生可能エネルギーに移行して発電できる仕組みをつくる。その際、中央から原発が立地している地方に投下するカネの総量は、公費分・民間分含めて、原発の時とまったく変わらないことを約束するというエネルギー転換兼経済対策政策です。
塩野さんが以前、「突然あなたからすべてを奪いますというような改革なんかできっこない。みんなが得をするようにすれば物事はうまく運ぶ」とおっしゃっていました。いま原発関連をやっている企業も、どんどん新しいアメがもらえる方向に進めばいいんだと思いますよ。
こんなん出ましたが、どないなもんでっしゃろか?