銀行が死んだ理由
運営者 ところで、就職先では、今はどんな業種が人気あるのかな。
りえこ 今、金融系は怖いなあ。
まり 銀行のいいイメージはなくなったよね。
りえこ 落ち目って感じかな。
運営者 じゃあ、人気があるのはどういうところなの。イメージ的に、「ここだったら大丈夫かなと思うような会社」ってのはあるのかな。今や役所ですら安定してないからね。
まり 放送局とか。
運営者 ああ、それはいいだろうね。規制業種ってのは、変わるのが一番遅いから。それに、放送局は自分たちでコンテンツをつくっていないから、経営が苦しくなると制作会社へのコンテンツ製作費をカットすることができるだろうし。自分が身を切るのが一番遅くなる業種だろうね。だけどキー局ならいろんな生き残りの手段もあるはずだ。
まり 他にどういう分野の会社が、20年後30年後に勝ち残って成長を続けているでしょうか。
運営者 銀行はね、もう日本じゃ終わってる産業なんだよ。どうやって縮小していくべきか方法もよくわからない、ほとんど国債残高と同じような産業になってしまったね。
どこの駅前にも銀行の支店があるでしょ。だけど、生産性とか資本効率性のことを考えると、自分のところの支店としてその不動産を使って収益を上げることができないのであれば、本来の業務をやめて、賃貸で人に貸した方がいいよね。それがビジネスというものです。いま銀行は、儲かってないわけですよ。じゃあどうなっているのかというと、莫大な公的資金を注ぎ込んでやっとなんとかなっているという状態なわけだから。
みずほグループには、2兆5000億円も公的資金が入ってるんだからね。狂ってるよ。2兆円以上も税金をつぎ込まないとやっていけない会社なんて、「お前はもう死んでいる」という話。そんな会社、単なる社会悪だよ。
まり どうやって収益を上げているのかと思いますよね。
運営者 上がってないんだよ。
金融業というのは本来どうやって儲けるべきかというと、お金を貸した相手がそのお金を使って、儲けて、それで利子をつけてお金を返してくれるという形じゃないといけないわけです。その時に、金融業は相手のリスクを見て、リスクが高ければ高い相手であるほど、利子がたくさんとれる、リターンが大きい、その代わり相手がこけたら自分も被るというのが本当の姿なわけです。相手が成功するかどうかを見極める、その目利きで勝負するのが本当の金貸しなんだ。株式投資も、まあ似たようなものですよ。ビジネスを成功させそうな相手に出資をして、上場したらリターンが大きいという話だから。投資銀行とか、ベンチャー・キャピタルはそういうビジネスをやっているよね。
資本家というのは、自分の代わり資本に働かせている人たちなんだよ。それはそれで、ぜんぜん怠けているわけではないんだ。肝心なのは、自分のお金をよそに回して稼がせるということ。
リスクを判断してやっていくところが、金融業のプロとしてのノウハウなんだけど、ところが日本の銀行はそんなこと考えたこともない。有担保主義で、土地担保さえあればいくらでも金を貸すという話だから。リスクなんかは何も見てないって。「貸した金よりも値打ちのある担保を取っておけば安心だ」という考え方。これはそもそも、資本効率性が悪い発想だよね。リスクを判断する能力がないわけだから、金貸しとして一番稼ぐことができる能力を全く忘れてしまっている。
ところがさ、都銀が4つに集約されて、それに従って系列企業が合併し始めているから、銀行は弱体化してるくせに、産業支配力は強まっているわけ。
だから銀行員は勘違いし続けてるよね。
ふざけてるよ、まったく。。