■ゴルフ
もっと楽しく遊ばせてよ、
気を遣わせないでよ(1)
新さん ゴルフ場は今もバタバタ潰れてるよね。
俺、バンコクで始めたんだよ。あそこじゃゴルフをやらないと仕事にならないんだ。バンコク仕込みだから、すごくマナーが悪いわけ。
でも、俺に言わせれば日本のゴルフのほうがホントはマナーが悪いなと思うよ。例えば、ドライバーショットを打った後、そこから向こうを見て「何番が必要か」というのを考えるわけじゃない。それで「5番頂戴」とか「3番頂戴」とか言うわけでしょう。ところが日本に帰ってきたら、ボールを見に行く前に、「クラブ持って行け」と言われるわけだよ。「それは逆だろう」と思うよねぇ。しかもキャディーに「お客さん走って行ってください」なんて言われて。「お前に言われる筋合いじゃないよ」と。
タイだとね、スコアは付けてくれるから自分でつけなくていいし…。
雅子さま えっ、スコアつけなくていいんですか。
運営者 それどころか、傘はさしてくれるわ、ティーアップはしてくれるわ、打つだけですよ。大名ゴルフですもんね。
新さん 中には懇切丁寧に指導してくれたりするキャディーさんもいるよ、「お客さん頭が上がっています」とか。まあそこまでのはよほどの接待の時なんだけど、通常1人につき1人キャディさんがついてくれるよね。
で、基本的には「日本のゴルフはゴルフでない」と思うね。ゴルフは基本的には自分で自分を律することが必要なわけだから、そういう面では、ゴルフの本質からはずれているのではないか。楽しくないよね。何で遊びに来てるのにキャディーに気をつかわなきゃいけないんだろう。妙に後ろのパーティーを気にしたり。前を気にしたり。
雅子さま 女性のゴルファーに慣れていないキャディーさんも多いかな。新しいゴルフ場はツライですね。またあんまり女性を入れたことがないような名門ゴルフ場に行っても、なおさら馴れてないところがあるんで、そういうときは「女性もふつうのゴルファーと違わないんですよ」ということを示すためにいろいろとお話ししなきゃいけないし。ま、スコアが悪いのをカバーするってのもあるんだけど(笑)。
運営者 やっぱり気を使ってるんだ。
雅子さま そうですね。だから仲のよい友人と回るときはツーサムプレー(注:二人単位で回る。キャディさんいない)が可能なクラブを選んだりする。18ホール続けてプレイする。海外なら当たり前のことが、日本じゃできない。もともとゴルフってマッチプレーで始まったことを考えると、日本のゴルフはユニークな発展をしているな、と。
新さん 日本だと、キャディさんとショットを一緒にやっているとか、その場を共有しているという感覚がないよね。バンコクの場合だと、キャディーさんと一対一で、キャディー同士も賭をしながらやっているから、向こうも真剣なんだよ。その子と2人で一緒にラインを読むんだよね。「お客さん、ここはスライスです」なんてね。
運営者 そうすると、伺いたいのは、キャディーさんとの組み合わせはどうやって決めるんですか。
新さん それはランダムでつくんだけどね。こちらからも指名できるけど、「250番の子にしてくれ」とか。それで彼女たちは何ホールか回った後で、客の腕を見てハンディをつけて彼女たち同士で賭けるんだよ。バーディーなんかが出るとその都度50パーツ札をチップとしてキャディさんにあげるんだ。
雅子さま キャディさんと一緒にやってるわけですね。
新さん だからプレーも面白いわけよ。だけど日本の場合は、やらせていただいているという感じで、キャディーに気を使って自分でクラブを持って走らなきゃいけないし、「何でこんなに苦労してるわけ」と考えちゃう。
運営者 だけど、ドライバーショットを打った後に、ボールまでクラブを持って行くにしても「ピンまでどれくらいか」ということが分からないじゃないですか。
新さん だから「5.6本持っていけ」と言われて、それ持って走らされるわけよ。 「だったら俺、バック担いで走っていくよ」と言いたいよね。「それはないだろうお前」。そんならカートで回った方がよっぽど楽だよ。キャディなんかいらないっ。