■ 代理店
もたれ合いから自立した関係に
クライアントも代理店もお互いプロにならねば(4)
■代理店
もたれ合いから自立した関係に
クライアントも代理店もお互いプロにならねば(4)
運営者 それはだって、最初の話につながりますよ。つまり、代理店としてはそういう関係を作る場合において、客もプロになってほしいはずです。
新さん そうだね、客もプロになっているからこそ対等に「私」と「あなた」という言い方ができるわけだ。
運営者 そういう関係でなかったら、「われわれは」という言い方はかなりうまい関係の作り方だったかもしれませんね。
新さん 相手が自立して立っているからこそ「あなた」と「私」という言い方ができるわけだな。それは言えるね。
運営者 それが次の段階なんです。日本企業の関係性の構築の仕方って、今まではそういうケースが多かったかもしれないですね。
新さん それがクライアントも代理店も自立するように変質していってるのかもしれないね。
運営者 今まではぜんぶ丸投げだったものが、「これはだめだ」ということになったときに、お互いがプロになって、もたれ合いから自立した関係に気付いて、「うまくやっていきましょう」という関係を築き始めているのでは。
雅子さま そういえばね、MBAについていろいろ言われてたでしょう。「あれはあまりよくない」とか「日本人には合わない」とかなんとか。でも最近思うのは、同じような年代の人でクライアント側にも、MBA取得者が増えてきているわけです。そういう人たちはわれわれが客観的な立場でアドバイスすることを非常によく理解してくれますけれどね。
運営者 自己相対化する訓練ができているので、立場を外して客観的することができるわけです。
雅子さま だから弊害論ばかりが言われてますが、仕事をしていく上では困ることはないですよ。
むしろそういうクライアントの方が、楽であることの方が多い。
運営者 その弊害論というのは、あくまで「今までの日本企業の組織文化の中にはまらないね」という意味だったんだと思うんです。
そうすると先のもたれ合いから自立した関係に取引関係が移行するとすると、サービスというのは、結局依存するのでなく、提供する側も客の側もきちんと仕事を果たしたうえで受け止めることができるサービスになっていくのかもしれません。
例えばね、茶道だと亭主よりも正客の方が難しいんですよ。どうしてかというと亭主が考えたその日の茶会のテーマに正客が気がつかなければ艶消しですからね。それが読めないと客として失格なんですよ。これはきついですよ勉強しなきゃいけないし。
雅子さま 茶道は面白いですよ。ボケ防止になります(笑)。いままでは日本的なことをあまり知らなかったんだけど。
新さん 最近俳句をやり始めたんだけど、季語というのはすごいよ。何百年かけて日本の美意識をぎゅっと凝縮して反映させてきたものだと思うよ。
この項終わり)
【ご注意】 この座談は2001年に行ったものです。内容が古くなっているカ所がある可能性があることをお断り申し上げておきます。