ネットベンチャーズ1
インタビュアー 飯坂彰啓
運営者 それで、その本の内容ですが、今年に入ってからネットベンチャーというものが世の中に出てきまして、それを取材してみると、「ああ、これは大企業とは違うロジックがその中で働いているな」というところが非常におもしろく感じまして、「彼らを取材してみると僕が会社を辞めた理由とか、いろいろな理不尽を解消できるんではないかな」というのがそもそもの動機だったんです。で、その本自体は大手出版社から出版されることになっていて、プロローグを書き足して、月曜日に版元にフロッピーを渡したところです。なんと出版時期は10月の半ばなのだそうです。まあそれまで一体何をやって生きていけばいいのかというので、途方に暮れているという次第です。
飯坂 「ネットベンチャー」という言葉が騒がれるようになったのはいつごろからでしょうか。
運営者 去年の秋からです。
飯坂 どういうきっかけでですか。
運営者 それは、去年の8月にインターキューという会社が株式公開して時価総額が1200億円を超えたわけです。それで、これだけの低金利でお金は余っているわけですから、行き先を探していたお金がネットベンチャーに流れ込むことになった。アメリカではその頃までにすでにネット株ブームになっていたのですが、日本ではそれまで投資対象となるようなネットベンチャーが現れていなかったわけですね。投資可能な会社が渋谷を中心にして頭角を表してきたのがだいたい去年の秋だったんです。
飯坂 いわゆるビットバレーというやつですね。
運営者 ビットバレーがネットベンチャーを世の中に知らしめたのは事実だと思います。僕の本の中では、ビットバレーというものがどのようにできて、どのような要素が成功する要因であったかということを取材して分析しています。
飯坂 じゃあ、ビットバレーとかネットベンチャーという新しいムーブメントに興味を持って、取材してみようと考えたわけですね。
運営者 実は、取材しているうちにわかってきたというのが本当のところです(笑)。
話を聞いてみるまでは、「こいつらは一体何者なのか」ということは僕にはわからなかったですよ。でもね、僕がそれでわかったのは、実はネットベンチャーというのは何かというと、まずベンチャー企業なんですよ。ベンチャー企業で、たまたまインターネット上で仕事をやっている会社のことでして、インターネット使って何かをやったら、みんなネットベンチャーになれるわけではないというところが非常に大きなところなんですけど。
飯坂 それは面白いですね、どう言うことですか。
運営者 だから、実はベンチャー企業を作る人間というのは、インターネットなんかなくっても会社を作ることができるんですよ。会社をつくるためには、人・モノ・カネなどいくつもの資源がなければできないわけですが、経営者になる人間はそれらすべてのものをどこからか集めてきて自分で組織をつくってしまうことができる人間であって、インターネットを使わなくてもそういうものを組織する能力は最初から持っている人たちなんです。インターネットはたまたま使っているだけなんです。