まあそんなことでやってますんで
インタビュアー 飯坂彰啓
飯坂 今回の本の版元はビジネス系の出版社ではないんですね。
運営者 「ビジネスはビジネス、そうでない部分はそうでない部分」ということで、日経新聞と朝日新聞の間には線が引いてあると思ってる人がいるみたいですけど、僕はそれは間違いだと思うんです。
なぜかというと、人間がわかるとか、人生とは何かということを考えるとか、そういう青臭い議論がわかって、自分の考えを表現する能力を持っている人間、そして人とうまく付き合っていって、みんなと一緒に物事や価値をつくっていくことができる人、そういう人が初めてビジネスの世界でも勝利できるわけであって、そこに線引きしてる人っていうのはビジネスでも成功できないと思うんです。
ビジネスの世界を離れても人とうまくやっていく人というのは、文芸的なセンスもあるんですよ。そしたらね、今度の本を経済系出版社から出したらビジネス本として読まれてしまうかもしれない。でも僕が今回提案している価値というのは、単純に損得で割り切れるようなつまらないものではない。結構エッジが立ってると自分では評価してるので、あまり妥協する気にならないんです。取材を始める前から、「そこまでの考察にはなんとか到達したい」と決意していたので、文芸系の出版社に頼もうと思ったわけです。
飯坂 なるほど。
運営者 ITといえば、僕はたぶん日本でのメジャー雑誌ではいち早く「IT」という言葉を見出しに使ったんじゃないかと思うんですよ。
それはね、95年の7月号で「ITの時代」というのをやったんです。その記事は、その年の読者投票で「1番つまらなかった記事」というのの一位に燦然と輝きました。95年全体を通して「面白くなかった」の読者投票の一位。それでまた編集長にほめられたんですよ(笑)。
それがどーです、今じゃ世の中あげてインフォメーション・テクノロジーですよ。「イット」じゃないですよ。
飯坂 どこかの総理大臣がそう言ったそうじゃないですか。スケベなことでも想像してたのかな(笑)。
運営者 どうでもいいけど(笑)。今じゃ一億総ITの時代になってしまった。くだらないなあ。「5年前にやっちゃいけないのか」と、「俺はいったい何なんだ」と思いますよね、ほんと。
でも、ぼくが2作目で書こうとしているのは、そういう意味ではかなりの早取りかもしれない。僕が読んで欲しいのは、学生に読んで欲しい。つまり40歳以上の人が読んでその後の自分の生き方を変えられるとは思えないんですよ。
だって僕だって会社に入社してから、勉強会とかに参加して、それでみんなに会って話を聞くまでは、旧日本国の人間だったわけですよ。学校で習ったことしか知らなかったんだから、それが新日本型の人間に脱皮して、カイシャを辞めることになってしまった。でも、もっと早く知っていれば、もっとうまく変わることができたかもしれない。そうすると、やはりもっと若い人に読んでほしいし、それからわれわれの世代の中でもまだ覚醒していない人に読んでもらいたいものです。そうしてカイシャの中での新日本国人としての活動を始めていただきたい。
だから、「僕がもっと早く知りたかったことを、みんなに知ってもらう」という、価値の移転ができる本にしたいなと思うんです。それをやりたいですけどね。どうでしょうかこれで。何とかならないかな(笑)。
まあそんなことでやってますんで、どうなるか知りませんけど(笑)。