新日本人が突き当たる絶望的な壁
インタビュアー 飯坂彰啓
運営者 僕ね、ここのところ何人かの友達の話を聞いて思うんですが、ま、彼らはスーパーエリートなわけですけど、彼らはやはり私と同じような壁に一様に突き当たっていて、……僕と話が合うくらいですからどのような壁かというと、結局、「今のままでは自分の属している組織はだめになる。だから何とか直そう」ということで一生懸命、蟷螂の斧で頑張って、新日本国で通用する新しい方法を周囲に提案したり吹聴したりするわけです。でも当然ながら、それは顧みられることがないわけです。
で、彼らからそのような話を聞いたときに、私は、
「そうでしょうそうでしょう、非常によくわかります。全くそのとおりです。
でもね、ここははっきり申し上げておきましょう。あなたが今やっていることは、あなたの組織の中では、絶対に理解されることはありえません。そう断言できますよ」と。(爆)
理解されないんですよ。
悲劇はそればかりじゃなくて、僕自身全く同じことをやってきたから分かるのですが、前の会社で、「このままじゃだめだ、こういうふうに変えた方がいい、この点も変えよう」というふうなことを延々とやって、最終的にはかなりラディカルな形でそれを実行して、それと引き換えに会社を辞めたわけですが、それをやったこと自体に関してはまったく後悔してないし、絶対に効果があったと感じているので問題はない。しかし、少なくとも私にとって問題に感じられることは、私が何をやったかということを理解している人間が、前の会社の中にはほとんどいないということなんですよ。
飯坂 それはつらいねえ。
運営者 滅茶苦茶つらいんですよ、僕にとっては。未だに引きずってますよ。
だから、100人くらいしかいないちんけな会社だったけど、今いる人たちの多くは私がやったことは知らないので、どう思っているかというと「岡本というバカがいた、ものすごく偉そうで、自分は特別な存在なのだから特別に扱えというような態度をとっているイヤなヤツである、デブのくせに」というのが、一般的な印象だったと思うんです。
別に僕は、それに対して反論しようとは思わないし、実際にそのような態度だったかもしれません。アピールしなきゃわからないから、妥協できないんですよ。一歩も引けませんからね。でも、それに釣り合うくらいの価値を私は与えていたはずだと思うんです。
だけど、それを彼らが理解するということは、絶対にないということなんでしょう。
そして、このような構造の抵抗を、多くの新日本人がおのおのの組織の中でやっているという事実があるわけなんです。これをどう考えるべきかというのが問題なんです。
じゃあなぜ旧日本国人がそうした新しい流儀を理解できないのかが問題になりますが、その理由は、旧日本国の人たちにはそれを理解する能力がないからなんですね。
「現状こういう仕事をしていればまったく問題がない、なぜコイツは騒いでいるのだろう」と先のことが見えない連中は思うわけです。でも、騒いでいる奴=新日本人は、「このままではだめになる」ということがわかっているから、嫌われること覚悟で騒いでいるわけです。
変革が受け入れられない最大の理由は、なにもしない連中は「変革推進者の動機を疑う」からです。僕なんか、「岡本が公益を語るなんて片腹痛い」と面と向かって言われたことありますからね。そこまで目が見えない人だと、腹も立ちませんわな。
だけど、新日本人はみんなこの壁に突き当たってるんです。