新日本国の民を導くモーゼはいずこ
インタビュアー 飯坂彰啓
飯坂 器量の問題という感じもしますよね。器量の問題となると、これはいくら勉強しても無理かもね。
運営者 それを身につけるために外国に行くし、それを身につけるために生活や仕事を通して見識を深めていくわけだし、古典に親しむわけじゃないですか。それをやらないんだったら、生きているとはいえないと僕は思うんです。
飯坂 人間とはいえないでしょうね。
運営者 われわれは文明世界に生きているわけですから。文化は何のためにあるのかというと、文化のための文化を作っているのではなくて、「如何にすればよく生きられるか」ということを追求するためにあるんじゃないですか。なんか、言ってて、むなしいものがありますが。
飯坂 それにふさわしい器量・能力がある人間だけが、エジプトを出て……。
運営者 約束の地に向かいますか。新日本人は約束の地を求めるしかないのでしょうか。旧約聖書では約束してくれているが、新日本人は寄るべき神との契約をまだ持たないわけです。神は既に死んで久しい。でも、彼らは救われなければならないと思います。では、モーゼはどこに。
飯坂 しかし、教祖に先導されるような人間は、ホントのインテリとは言えないだろう。
運営者 でもね、人間はいろんな色に染めることができるんですよ。ホントにいいリーダーになる人間って、人を説得して、悪くいえば騙してでも自分の力を蓄え、影響力を高めていくんです。
飯坂 そういう言い方をすると、成功した指導者は良いリーダーで、失敗したやつは悪いリーダーということになりますね。
運営者 成功するリーダーというのは、みんなを組織して、それによってみんなが扱える資源も増やして生活を豊かにし、精神を豊かにする人のことです。しかしそれを勝ち取るためには、彼の旗の下に集まる人間を増やしていって、組織全体が持っているトータルの力をライバルたちよりも大きくするということをマネージする力が必要になるわけです。新日本人は、それに取り組む必要があると思います。
飯坂 そういう取り組みを放棄した単なる中間管理職になってしまい、自分の上司の意向に汲々とすることが仕事であった時代からは、きっぱり決別しなければなりませんな。
運営者 中間管理職のメンタリティーでそのまま社長になって会社を潰して、「社員は悪くありません。私が悪いんです」と言っていた人がいましたが、それはほんとに「お前が悪いんだよ」と思います。そんなこと言われても、何の慰めにもならないしね。
飯坂 まぁあの人は何も知らずに社長になったわけだから、銃殺されるために社長になったということですよね。
運営者 わけのわからない役を引き受ける方が悪いですよ。
飯坂 アメリカ人が知る前に、日本人自身が「日本の今のエスタブリッシュメントは無能力である」という現実をまず認識して、ではどうするべきかを考えなければ。解決の方法はそこから出てくるはずですよ。
運営者 いずれにせよ、このままじゃああんまりだと思いますよね。改革はまったなしなんです。
(この項終わり)