新日本人の存在に気づいている人は少なくない
インタビュアー 飯坂彰啓
運営者 日本の状況をますます悪化させているのは、このような旧日本的な体制であるということをよく理解できるレポートだと思います。
たった476円で売る文庫本をここまできちんと取材して作るというのは採算とれませんよ。どういうからくりになっているのかというと、きっとこれは週刊ポストのデータ原稿を編集したものなんですよ。週刊誌はカネが使えますからね。
私も、「アンカーが書く原稿より自分のデータ原稿の方がいいのに」と思ったことがありますが、お蔵にするくらいなら出版する方がいいですよ。この本には十分その値打ちがあると思いました。
それから『騙されやすい日本人 覆い隠されている危機の構造』ですが、この本もまた驚かされました。宮脇磊介さんは初代の内閣広報官ですが、彼ははっきり書いていますね。
今、日本の世の中は二つの社会層に分かれており、この二つの社会層は水と油のように互いに入り交じることない状態にある。人びとはそれぞれの社会に属しておりながら、二つの社会の存在がだんだん明らかになりつつあることも、したがって自分がそのどちらかに属していることもまだ明確には意識されていない。
旧体制の人々は、今日の社会が二層に分化している中で、今後早晩消えゆく宿命にある。
日本人には価値観の異なる2種類の人間がいる。新しい日本人と古い日本人と。これはわれわれが持ってる認識と、まったく同じものですよ。
私はこのを読んでこう思いましたねえ、「ああ、やっぱりそう思っている人ほかにもいるんだ」。しかも警察官僚なんていう、ガチガチの旧日本人の本丸の人ですからね。ものすごく力づけられました。
金子仁洋さんもやはり同じような感覚を持ってるんですよねぇ。やっぱり内閣広報官だった人ですけど。
この本の中にはまた、「インターネットを使いこなすことによっておじさんたちは変わることができるはずだ」という認識が示されています。これもまた、私が『新日本人』の中で、「コンピューターネットワークに入ることが新日本人への入り口のひとつだ」と書いていることと不思議に符合していますよ。
やっぱり新日本人の存在に気づいている人は少なくないんだなあと思いました。この流れが大きくなって、今度こそホンモノのルネサンスにたどり着けるかどうか、それはまだまだわからないことなんですけどね。
気がついたわれわれがまず、トライしましょう。先人が何度も試みて失敗してきた挑戦ですが、私は今度こそ勝てるような気がするんです。
(この項終わり)