なぜ公共事業を? 「そこに票があるからだ」
インタビュアー 飯坂彰啓
運営者 では選挙民はなぜ昔は人跡まれであった道東地域にいるのか。もともとは人間がいなかった地域なんですから。それは屯田兵やパイロットファームで、明治以来ずっと入植してきたからなんですね。
と言うことは彼らの爺さんやおやじはフロンティア精神を持っていたわけですから、本人たちもそのフロンティア精神を発揮して都会に移住するとか、棄農するとか、それができれば問題はないわけですよ。
しかしそれをしない土着の人間の利益を、経済合理性を全く無視してまでなぜ政策的に守らなければならないのか?
飯坂 そこに票があるからですよ。選挙民と議員がもたれ合っているわけです。都会に出てしんどい思いをするよりも、利益誘導してくれる政治家を立てて仕事をもってきてもらう方が楽だと選挙民は考えているんでしょうね。そういうやり方が本当なのに、ムネヲは地元民の弱みにつけ込んで恫喝をして自分の懐を肥やしているだけなのではないかと。
運営者 この本の中である地元のジャーナリストは、「本当にそれは地元民のためになることなのだろうか」と疑問を呈しています。町村信孝は中小事業者への支援をしながら、彼らがオリジナルの価値をつくることができるような努力をしてもらうような施策を色々やっている。
飯坂 まあ町村信孝はプチ殿様ですからね。町村牧場は大きいし、町村牛乳というのも市場に出回っていて結構おいしいですよ。
運営者 選挙民の自立性を高めようとする政治家と、選挙民の依存性を放置してそこにたかる政治家と、どちらが新日本人かと言ったら、これは明らかですよ。
運営者 経済原則を無視してまでそこにいる人たちの票を重視しなければならない。根本原因は、1票の格差があるからということですね。
飯坂 そうです。
運営者 それは司法の問題です。最高裁場所が「1票の格差が存在するのは違憲である」という判決を出せば、こんなばかなことは起こらないはずなのですが。著しい不平等が放置されることによって、お金も、人々が持つ機会も、ムダに蕩尽されているのが現状なのです。