新年のお祝いを申し上げます。
わたしは「理念が社会を作る」と信じていますが、明治維新の時はわが国においてもまさにそうだったと思います。
その起爆点が萩城下にある、吉田松陰の叔父玉木文之進宅です。ここで玉木に学んだ松陰が松下村塾で幾多の俊秀を薫育し、松陰の精神を継いだ者たちが日本の歴史を変えていきました。
日本海に面したさびしい城下町の、下級武士の住む川向こうにある茅屋です。
「こんな所から日本社会全体が変わっていったのか」という感慨をおぼえると同時に、「こんな僻地にも社会全体を揺り動かせるほどの革新性と実効性を持つ理念を創出する素地があったのだ」ということに驚きの念を禁じ得ません。
そしてまた、「この文化的素地を、今日のわれわれも引き継いでいるはずだ」と、この古い民家に上がってみて実感することができます。
いつでも、そのポテンシャルを発揮できるようにと念じつつ、今年も日々精進を重ねたいものだと思います。
岡本呻也
松下村塾