売り手側にもたせるべき責任とは
飯坂 それで高安論文に戻ってくるわけですが、
金融の根本的な信用回復に必要なのは、売り手側に対し商品に関する厳しい責任を持たせて悪意の入る余地を残さないようにすることだ。そのためには、まずは、自由な相対取引に任せられている金融商品の取引を監視するような仕組みの導入が不可欠である。
運営者 なんか報道ステーションの古舘の浅薄コメントを彷彿とさせる表現ですねぇ。
飯坂 クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)については、今はすべて相対取引ですが、GMなどの主だった銘柄についてはクリアリングハウスのような所を設けて決済できるようにしようという構想があります。
CDSが問題になっているのは、CDSがデフォルトするリスクではなくて、CDSを売っている会社側が履行できなくなるというカウンターパーティーリスクの方がはるかに大きいんです。
例えばAIGというのは世界最大のカウンターパーティーのひとつですから、AIGがデフォルトになってしまうと、AIGが相手側になっているCDSをあてにしてされている金融商品やM&Aのディールがすべてだめになっちゃうんです。カバーを取り直さなければならなくなってしまいます。
しかし、AIGがいなくなったら、そのリスクを取れるところなんかは、地球上のどこにもなくなってしまうんです。そうなるとえらいことです。
運営者 そうでしょうねえ。
飯坂 そこでクリアリングハウスのような所を設けて、CDSのリスクを引き受ける場合には、リスクに応じた証拠金をそこに積むという考え方はありだと思います。つまりこの論文の「自由な相対取引に任せられている金融商品の取引を」という部分はありなのですが・・・
運営者 この「監視する」という意味は、監視して何かおかしかったら差し止める権限が必要であるという意味にとれますが。
飯坂 差し止めるというよりは、カウンターパーティーリスクを過大評価せざるを得なくなることによる金融危機を引き起こす危険性を最小化する仕組みを導入するべきであると言うべきだと僕は思います。
運営者 役所が焼け太るべきだという主張にも聞こえますが。
飯坂 東京金融先物取引所のようなものですね。ただまあ日本だけの問題ではありませんから、日本の役所だけが焼け太るということではありません。
それから、
現実の過去のデータを網羅的に科学的な分析を施した上で、リアルタイムの市場データを素早く正確に分析し、金融商品の価格と量の妥当性をチェックし、投資と保険とギャンブルを区分する基準を構築すればよい。
ギャンブルは排除すればよいという主張ですね。
運営者 そうかなあ。ギャンブルはコントロールしてやれやればいいんじゃないですか。ギャンブルをすべて排除するのであれば、なぜパチンコ屋があるんだろうということになりませんか。
だいたいこの「基準」はだれが作って、どの程度の縛りをかけるのかという議論が抜け落ちていると思うんですよ。
飯坂 その基準を作るのが難しいと思いますねぇ。そもそも、取引所には一定数のスペキュレーターがいなければ流動性が保てなくて機能しないと思うのですが。