新日本人のビジネス・マインド■
3.顧客志向
顧客と向かい合い、相手のことを慮りつつ、どのような価値を提供していくべきかを常に意識して行動する。そしてよりよい価値を顧客に提供し続けるために、勉強して自分自身を磨き続ける
とにかく自然に仕事をこなしていけば、顧客のことを考えるのはこれ以上当然なことはないほど当然なことになるはずだ。
仕事の基本をマスターして、自分が使える資源やかけられるコストを感覚として身につけた上で、客のニーズを満たすように突き詰めて考えると、どんどん我執が消えていくはずだ。客の声に耳を傾けていると、どんどん相手の意識に集中して行き、反対に自分の都合や好みへのこだわりが小さくなっていって、ついには消えてしまうだろう。
プロフェッショナルである新日本人が顧客に自然に向き合っている時、彼の心は「無」とか「空」の状態になっている。自分を消して、相手に向けて完全に自分の心を開いているので、相手が何を欲しているのか、その意図を相手の立場に立ってきちんと読み解くことができる。そして仕事に対してますます前向きな気持ちが起こってくる。
仕事がうまくいっている時は、そういう心情になっているはずである。顧客に対する対応や、仕事のプランも、無理がなく自然体で、しかも相手の気持ちに寄り添うように、相手に先回りして自然に身体が動くので、相手が自分でも意識していない潜在的なニーズまで先回りして実現し、高い満足度と信頼を勝ち取ることができる。そしてお互いに有益なWin-Winパートナーシップを長く維持していけるようになる。そういう好循環を実現するビジネスモデルをつくることに成功した企業は、高収益企業になるはずである。
プロとなった新日本人は、顧客(個客からマーケットまで)に対してよりよい価値を提供するために、自分でもよく勉強し、スキルをアップさせ、そして何よりも物事の本質を深く考えるようになるだろう。それがまた、他人に対する理解を深め、仕事の質を向上させるという好循環につながっていくはずである。
仕事は全て、直接間接に人を相手にするものだ。「自分の仕事相手は、パソコンだ」と認識している人は、その時点でアウトである。あくまでも端末の先にいる相手(顧客)のためを考え、価値を創出しなければならない。だから新日本人には、何よりもまず人間理解が必要なのである。その上で、自分が察知した顧客のニーズを満たすシステムを作り上げるために欠かせない能力が、ネットワーク能力とビジネス・センスなのだ。相手(顧客)を第一に考えない仕事なら、そのような仕事のために資源を使うのは他人の迷惑にしかならないから、さっさとやめてその資源を他のことに回した方が、社会全体にプラスをもたらすはずである。
(この項終わり)