タコ足経済に明日はない
資本を浪費して儲からない会社、マーケットへの政府の介入は社会悪です。
仕事が儲からなければ明日はない
われわれにとっての最大の問題は、企業が儲かってないことです。会社の目的はマーケットに有益な商品を提供することで儲けることにあります(リストラ縮小再生産で儲けを出してもほめられません)。個人個人の仕事は会社の利益に貢献しなければならないし、その仕組みをつくるのがマネジメントの本来の責務です。ところがこれまでそこの部分はあいまいで、あまりみんな「会社の目的は儲けることにある」ことだと強く認識せずにすんできたように思います。はっきり言うと、サラリーマンは「儲けなければ」と本気で思っていないのです。
儲からなくなったら「景気が悪いのが原因なんだから、政府が景気対策をやってくれたらまた儲かるようになるさ」とお気楽に考える人が多い。つまり「儲かるか儲からない」はあくまで人ごとだったわけで、正面から自分たちの問題としてとらえていなかった。あるいは「自分は一部門にいる平社員であって、会社全体のことを考える立場にないのだから、与えられた仕事をこなしていれば問題ないのだ」と人まかせにする雰囲気があった。みんながそう考えていたら、利益体質はつくれません。ヒントは現場にあるのですから、現場から重要な情報をうまく拾い上げて、「どうすれば環境変化に対応できるか」を考えて初めて「儲かる会社」になるわけです。だから全員がアンテナを張っていなければ他社に負けてしまいます。
そういう儲からない会社は労働資本と株主資本を浪費しているわけですから、社会的に考えると「悪」なのです。なぜなら、その会社に資本を張りつけておくよりも、もっと儲かる会社に投資したほうが、資本から得られるリターンが大きくなるからです。これは資本主義社会の仕組みです。だからこの社会では会社は儲からなければならないし、銀行のように資本を浪費するばかりで儲からない会社には発言権はないのです。そしてまた、赤字しか産み出せない労働は、いくら汗をかいても無価値に等しいのです。だからわれわれは必死になって「どうすれば儲かるのか」を考えなければならないのです。