IT革命がネットワーク能力を磨く
旧日本人に決定的に欠けているもうひとつの能力としてわたしは「ネットワーク能力」を挙げましたが、インターネットが普及したために、他人と連絡を取り合ってネットワークを広げるコストは以前からは考えられないぐらい安くなりました。これも「下からの革命」を推進する大きな力になるでしょう。
直接会って話をするには膨大なコストがかかりますが、キーボードをたたくだけで遠くに離れたところにいる人からアイディアをもらったり、大勢の人を説得できるようになれば、一個人の可能性はぐんと大きく広がるでしょう。もちろんITによるネットワーキングは、直接会って情報交換をすることで初めて効果を発揮します。
ですからそういう機会をつくる必要は絶対にありますが、インターネット上の掲示板やEメールを使って自分の意思を相手に伝えたり、逆に相手の考えを文字から読み取る訓練を積んでいけば、自然にコミュニケーション能力が培われるはずです。そういう訓練も、新日本人ビジネスマンにとって必要な能力を磨くステップになるはずです。
そしてネットワークこそ、革命に必要な考えを一気に人びとにひろげ、敵の力を削いで社会をひっくり返すポテンシャルを秘めたものであることに注意が必要です。だからITの発達は、「下からの革命」にとって決定的な要素になる可能性が高いとわたしは思っています。
このように、新日本人ビジネスマンは後に引けない状況に追い込まれているし、「どうするのが正しいか」が分かっているし、武器も持っているのです。「であるならば、旧日本人と闘うしかない」という局面を迎えています。一方で、旧日本人も一歩も後がありません。包囲網が狭まってくる中で、「自分たちのやり方は金輪際変えられないし、地位を捨てるのは死んでも嫌だ!」と焦燥感を募らせています。こうして新日本人と旧日本人の対立は一触即発の状況を迎えています。すでに小競り合いをしたり、大きな衝突が起こっている職場も少なくないことと思います。