運営者 だけど、何事も客観的に考えなければならなくて、木下さんのところに健康被害報告がたくさん来ていると思うのですが、統計処理をしなければ「やばい」とは言えないわけで、報告例が多いだけでは何とも言えないわけです。
・・・なんだけど、あまりに数が多いので「やっぱり放射能の影響が疑われるのではないか」と私なんかは思っていますけど。
最近はどうなってますか?
木下 敗血症が増えています。これはどういうことだろうという話を三田先生としていて、本来抗生物質をちゃんと投与していれば敗血症なんかにはならないんです。
それが、60代の人が敗血症で死んでいるケースがあります。
運営者 死因が敗血症なんですか?
木下 体の色んな対応能力が落ちてるんでしょうね。
もちろん医者が処方を間違っているとか、いろんな原因があるかもしれませんが。
運営者 結局どうなんですか、福島原発由来の放射能による健康被害は起きつつあるのかどうか?
これについて今言える事は?
木下 非常に断片的な情報ばかりで、判断がつきにくいんです。
福島や北関東の高度な汚染地は別にして、首都圏全体で明確に甲状腺疾患が頻発していると言えるかどうかと問われれば、多分言えないと思います。ただし、これはチェルノブイリも、5年という時間経過後におきている事象ですから、現況では判断できません。
運営者 血液については?
木下 軽微な異常が起きていると言えると思います。
だけどその軽微な異常がさらに悪化するかどうかについては何も言えません。
中年の突然死は.突然死にカウントされないものも含めて増えているのではないかと思います。ただしそれが脳出血、脳梗塞が増えているとか、ここのところ大動脈乖離が増えているとか。
大動脈乖離は、普通は「高血圧です」で終わっちゃうんだけど、それが脳出血、脳梗塞になるという身近な話が報告例として増えています。
ただ難しいのは、僕のところにメールなどで寄せられている報告件数の総数は減っているということです。
運営者 その理由については前回話しましたよね。
木下 そうです。その傾向は変わっていませんから、そこも含めて考える必要があります。
運営者 そうすると、ハッキリしたことは言えませんよという結論になっちゃいますね。
木下 今のところはね。
ただし、被曝による健康被害のアウトブレイクは、まる4年を過ぎたところから以降まる5年を過ぎた後というのが定説ですから、2015年春以降から2016年の春にかけて見えてくるはずです。
それまでは、どっちにしても、わからないでしょう。
突然死の件数が100人いようが200人いようが、それが被曝による健康被害であるとはすぐに言い切れないということです。
そういう状況下で、被曝回避をどのように考え、実行していくか、難しいとは思います。みなさんのご賢察とシビアな判断を求めたいですね。
■木下黄太氏インタビュー
今そこにある「放射能危機」の本質 2014年4月
「放射能防御」と脱原発を巡る、もろもろの事情 2013年7月
被曝回避、放射能防御の現状と展望 2014年11月