社員も会社を利用すればいい
運営者 僕はこう考えていいんじゃないかと思うんだよね。
会社に入ったら、とにかく頑張って早く仕事を覚える。
仕事を覚えたら、その職場の中で自分がどれだけのことができるかというのが問題なわけじゃない。だったら、「自分は絶対こうやった方がいい」と思ったことは、どんどん主張すればいいんだよ。
当たり前だと思うかもしれないけれど、今までの日本企業では会議というのは発言してはいけない場だったからね。なぜかというと、地位が上の奴が言うことは絶対だったから。そうは言わないまでも、少なくとも年少者の意見は、どんなに優れた意見でも、まったく根拠なく過小評価される、あるいは軽視されているよね。日本の組織では、年齢が上であるとか、自分よりも先にその組織に入っているということは、ある種の優先権が与えられているとみなされていたんだね。そしてそういう人の意思や意見は、検証にさらされなかったんだ。
でも本来は、会社組織というのは株主のためにあるわけで、株主の利益を目標とした運営がなされなければならないのに、組織の中では実際には上司が無条件に偉いという、会社の論理を全く飛び越えてた意思決定プロセスだったわけ。
まり 発言したら、出る杭は打たれちゃってたんですね。
運営者 そう、すごいよね。だけど何か問題にぶつかったら、オープンな場で、アイデアを出し合って議論すればいいんだよ。そもそも会議というのはそのためにあるんだから。
クリアすべき目標が与えられたら、戦略を考えてそれをクリアするべきであって、自分に考えがあるのなら、みんなの前でアイディアを主張すればいいんだよ。そのアイディアに間違えがあったり穴が空いていたら、みんなにそれを指摘されてハチの巣にされちゃって終わりだよね。だけどみんながそのアイデアを見て、「これはいい、これをやろう」ということになれば、それをやればいいだけだよね。
会社は社員を利用するんだけれど、社員も会社を利用すればいいんだよ。会社に入ればいろんな資源が与えられる、いろんな人に会えるし、いろんなことができるでしょう。その中で、常に自分ができる最高の仕事をやっていればいいんだよ。そうやっていいろいろな問題を解決したり挑戦を続けていくうちに、必ず自分の利益と会社の利益がぶつかる時が来る。それが来なければ、本当の仕事ではない。そういう衝突があって、絶対自分の主張の方が正しいと思っているんだけれども、それができないという時が来れば、辞めればいいんだよ。
辞めて他の会社に移ればいい。それが普通だと僕は思うんだけどね。だけど僕の世代の人たちは、このような考え方は危険思想だと思ってるんだよ。
りえこ ふーん。そんなにパッと会社を移動できるかな。
まり 自分に実力がついているというのが前提ですよね。
運営者 だって、会社を移れるくらい実力がなかったら、そもそも最初にアイデアを出した時点で「ここに穴がある」「これを見落としている」って、みんなにハチの巣にされて終わりじゃない。
それから、みんなが会社を辞めるようになれば、転職市場が大きくなって、すぐに職が見つかるようになるよ。みんな文句を言いながら、会社にしがみつきすぎてるんだよ。