■ ホテル・旅館
客の目的に応じたサービスを
過剰包装、慇懃無礼はやめてね(6)
雅子さま あと布団の柔らかさについて一言。俵屋はすごいですよ。俵屋の布団は堅くてマットレスみたい。そこからしてガイジン向き。部屋に帰ってきて、「あれっ、ベッドが並んでいるよ」と思うと、これがなんと布団なんですよね。
運営者 ガイジンはホテルでも「沈む」というんで、マットレスの間に板を入れさせたりしますよね。
新さん ホテルのベッドだと、マットレスの表と裏で硬さが違ったりするみたいだよ。文句を言うと裏表を変えてくれる。それと、浴衣が困っちゃうよね。
運営者 僕は必ず自分で持っていきますよ。浴衣のサイズがないことが多いから。
新さん 浴衣が用意してあるというのもおかしなことだね。外国ではバスローブはあっても、パジャマは置いてない。
運営者 なんせ浴衣は旅館にはなければならないんですよね。ホテルにもありますからね。日本では。
雅子さま あるある。どこだか忘れましたが、伊豆のどこかの旅館では、浴衣をいっぱい持ってきて、「どれにします」と聞かれてちょっと面食らいました。そんなこと全然期待していないんですけど。
運営者 女性用のサービスなわけですね。
新さん そんなの関係ないよね、どうせ脱がせるんだからさ。
雅子さま いや、そのときは女性同士で行ったんで。一応言っておくけど。「浴衣を選ばせるくらいで喜ぶ人がいるのかな」と思いましたよ。
新さん 微妙なところだな。エクスペクティッド・サービスと、そうじゃないサービスとの境界は難しい。予期していなかったけど、突然あるサービスをされて「すごくうれしかった」というのはあるかもしれないけど。浴衣の場合は単に「なんだこりゃ」と思っただけだもんね。
運営者 顧客満足度を異様に高めるのは、予期していなかったサービスをされたとき。それから、「これは自分には過分である、とても手が出ない」と思うようなサービスをしてもらったときなんだそうです。そういうのはインパクトがあります。
新さん 「どうだ、まいったか」という感じだね。そういうふうに客に思わせようとしてサービスがだんだん過剰になっていくのかもしれないね。