■ ホテル・旅館
客の目的に応じたサービスを
過剰包装、慇懃無礼はやめてね(7)
運営者 でも、いくらそんなことをしてもあの懐石料理じゃあ、ひとりとして満足しませんよね。
雅子さま その意味では、京都の旅館は料理はちゃんと考えていますね。そんなに大量には出てこないし、旅館の中でつくる部分と仕出しから取り寄せる部分があると思うけど、ちゃんと考えてやってますよ。そうそう今は亡き森瑶子さんに教えてもらった京都の要庵西富家という宿も、ごはんは美味しい。地下の大風呂を出ると、冷えたビールと烏龍茶が待っていたのが印象的でしたね。はもしゃぶも絶品だった。オーナーの西田さんという人は、話し上手でなかなかの男前だったような記憶があります。ここは毎年年明けに七草粥用の七草を送ってくれるんです。ああ泊まりにいかなくちゃと思うんだけど、なかなか財布が許してくれない(笑)。あと、ここの書斎と、俵屋の書斎はなごめる空間で好き。
新さん 先斗町に泊まったことがあって、映画関係者の紹介だったんだけれど、朝の連ドラの「オードリー」の世界だよね。そこは狭いところだったんだけれど、出てきた料理というのが、1人分の小さな湯豆腐とお刺身だけ。どうせこちらは外で遊んできているから…。
雅子さま 「でも湯豆腐は食べたい」と。グジと湯豆腐は押さえておきたいと。
新さん それで十分だね。沢山いろんなことをしてくれればいいというわけではない。そういうのをパンパード・サービスっていうんだ。おむつをあてるようなサービス。つまり、過剰なんだ。
運営者 まあ、そうなっちゃいますね。
新さん イギリスの郊外のB&Bに泊まった時に、お風呂に入ったとき猫足のバスタブだったんだ。「これはいいわ」といって、石鹸を入れて出ようとしたら、シャワーがないの。
運営者 それはそういうもんだと思いますよ。
新さん 風呂から出たらすぐバスローブを着て、それで終わりだからね。でもそれは気持ち悪いから、蛇口の下に体を持っていって洗ったり。
運営者 猫足なんてラブホテルにしかないですよね。
新さん あそこにあったよ、横浜グランドホテル。でも改装したらからなくなったかな。
運営者 僕がこだわっているのはベッドの大きさなんですよ。外国のホテルのベッドって大きいじゃないですか。できれば僕はね、寝たままくるりと一回転できるくらいのゆったりした幅が欲しいんです。
新さん それはね、ハリウッド・ダブルっていうんだよ。
雅子さま どこかで、「日本人はダブルを好まなくて、ツインの方を好む」と言われたことがあったなあ。西洋人だとそれは絶対にないらしいですけどね。
運営者 ウエスティンホテルだと、「電話はベッドの右側がいいか、左側がいいか」というところまで好みを聞かれるそうですね。その辺のホテルはヒストリーの管理がしっかりしているので、情報は世界中で共有していると思いますよ。
雅子さま 私ウエスティンのあのベージュとグリーンのインテリアって好きだな。