■ 酒場
黙って飲んでいられるアンビエンスを<br>
提供をしてくれ(3)
運営者 究極のBARを教えてください。
新さん この前行ったんだけど、銀座にあるBARで、ホテルオークラにずっといた人が開いた店で、まあ居心地は悪かったね。でっかいカウンターがあって、しんとしてるんだよ。で、そのお父さんがおそれ多くもありがたくも作ってくれるんだよね。それを畏まってみんな待っているわけ。
運営者 出てきたカクテルを、みんな右に2回回して頂いているんじゃないんでしょうね。
新さん 「結構なお手前で」。もう、いやになっちゃった。マティーニ一杯3000円で、場代が3000円で計6000円。ほとんど凍りましたね。「道を極めた人が名人芸でお出しする」というのが売りだし。だからみんな緊張しまくっている。そういうところは多いと思うな。Radioなんかもさ、昔はよかったけど、今はそういう感じがしない?
運営者 実はね、このグラスってRadioの尾崎さんに言って譲ってもらったんです。彼がデザインしたらしいんだけど、この飲み口のカットの角度が大好きで、「もうこれじゃないとだめなんです」と言って、拝んだら売ってくれました。
あそこの空間っていいと思うんですよ。あれは、リラックスするために行くわけですから、カウンターが広くて、そこそこゆとりの空間があって、そうは言っても開放的なわけではなくて、精神的にぼろぼろになったときなんかに、あそこに行って座っているとかなり癒されるものがあると思うんです。
新さん 疲れたときにふっと行って、1杯だけ飲んで帰れるというところが欲しいよね。そういうところはあるよ。銀座にも。で、薄くジャズが流れていて、誰も無駄なことは一言も言わない。ひたすらずっと黙って飲んでいられるというところが欲しいし、そういう空間を提供するところがBARのサービスだね。そういうアンビエンスを提供をしてくれるというのが。
雅子さま 帝国ホテルのオールドインペリアルバーはいいですよ。
運営者 いやあそこは、やかましいし、みんなたばこを吸っ てるし、いつも満員だし、ガイジン多いし、どうかな。
新さん うるさいよね。
雅子さま 実は、昼間行ってるんですよ。
新さん おっ、昼間はいいかもしれないね。
雅子さま ものを考えるには最適の空間ですよ。
運営者 あの椅子の方ですよね、カウンターじゃなくて。なるほどそれは考えたことがなかった。そんなオールドインペリアルバーの使い方があったとはね。
新さん とんでもないやつだなあ。