■ 寿司屋
一番安いものが一番うまい、それが鉄則(2)
新さん もう今や、回転ずしでも自分の欲しいものを注文することができるし、生け簀で泳いでいる魚を注文したらさばいてくれる回転ずしすらあるんだから。
オレね、ロンドンの回転ずしにも行ったことある。
運営者 チェルシーの角地にあるぴかぴかのやつでしょう。来ている連中がドレスアップしてるんですよねぇ。
新さん 店入ったらテクノポップが流れているんだよね。
雅子さま 随分はやってるらしいんじゃないですか。1皿いくらくらいするんですか。
運営者 確か一番安いのが£3くらいで、皿が3色に分かれていて、マグロは£5.5だったと思う。
雅子さま 高いいいい!
運営者 思わず、「これ、日本じゃ100円だぞ」って。
新さん 日本でいうと、ちょっと気取ったイタメシっていう感じだね。みんなここ一番着飾って来ているし。
運営者 みんな週末にカップルで来ているわけです。僕はインチキなブラジル人の野郎とヨレヨレの格好で2人で行って、「なんだこいつらは」という目で見られましたね。早々に退散しましたが。
新さん デザートが、どら焼きなんだけど、中がカスタード・クリームなんだよ。メチャ高かった。
運営者 でも北海産のサーモンは旨かったな。やっぱりスウェーデンなんかで食べるサーモンはうまいですよ。
新さん 去年の冬にヘルシンキに行ったんだ。ヘルシンキで「ここの名物はなんだ」って聞いたら「ロシア料理だ」ってんだ。フィンランドってずっとロシアの植民地だったからね。
それで、ロシア料理店に行ってボルシチを頼んで、「メインでここの名物料理をちょうだい」って言ったら、「卵三色盛りです」って出てきたのがキャビアとイクラとたらこ。色がきれいなんだよ。
ひたすら、それだけ。旨かったよ。コレステロール値高いぜえ。
やっぱりその土地で採れた旬のものというのが一番うまい。
それで、反対にすごく頭にきたのが、頑固一徹のオヤジがいて威張り散らしている寿司屋があるんだよ。俺は「馬鹿野郎!」って言って帰ってしまったね。だってみんなピリピリして食べてるんだもん。それは違うだろう。
逆に考えてみれば、それもパフォーマンスだからひとつノリなんだろうな、お金出してそれを買いに行くんだな、そりゃそれで1つのやり方かと思ったけれど、「二度と来るか」と思うよ。
それをマゾヒスティックに愉しむというのがあるんだろうな。
運営者 ちょっと新さんの趣味じゃなかったんですね。
新さん ぜんぜん趣味じゃねーよ。「馬鹿野郎!」だよ。「お前に怒鳴られながら食べたくないよ」ってーの。