爆笑! 四酔人サイト問答
マスコミは情報の格付け機関、
ならばサイトの役割は?(3)
運営者 だから「私はこう思います」という態度表明を、選挙で一票を投じるのと同じように、サイト上でやっているわけです。
僕はメディアというのは民主主義を支えるものだと思っています。発言してる人の信用力に基づいて、読んでいる人が「この人がそう言っているのならばそうかもしれない、では自分もアクションを起こそう」と態度を変えようと考えるところが重要なんです。
メディアにコミットするということはそういう意味を持つ、ということも僕は運営者として考えておきたいと思っています。
師匠 だからって、あまりサイトが固過ぎてもね。誰かと、誰かのやつみたいに.....
運営者 師匠は自分のサイトが柔らかいと思ってるんですか。
田中 師匠のサイトは色物も硬派もバランスよく揃ってますよ。まあ、あそこに載っているジョークをどれぐらいの人が理解できるかという問題はありますが。
運営者 あれは難しいですよ。あれを週刊文春に乗せたら部数は減ると思いますね。(笑)
田中 私の知り合いに大阪の新聞記者で非常に良いメールマガジンを運営している人がいるのですが、彼が現在の大学が教育機関・研究機関としていかに閉塞した状況にあるかをつぶさに論じたところ読者がどっと減ったらしいんです。
調べてみると購読をやめた人のドメイン・ネームはほとんど"ac.jp"だったらしい。きっと古くからの読者もたくさんいたでしょうね。それでも、苦言は正面から受け止めようとしないんです。メルマガなんてほったらかしにしておいても送られてくるだけなんですから、わざわざ配信をやめる手続きをするというのは、そうとうな拒否反応ですよ。それから、タダで読んでるくせに「文章が長くてむつかしい」とか文句を言ってくる人がいるらしいんですよね。提言力のあるサイトを運営するというのは、大変なことがあるんだな、と思います。まあ僕なんかは気楽な弱小サイトなので、「それだけ熱心な読者がいるんだからいいじゃないですか」と慰めているのですが。
かんべえ もし私のサイトが、師匠くらいのアクセス数になったとしたら、疲れそうだなと思いますね。
師匠 慣れれば大したことはないよ。5人に読んでもらうのも1000人に読んでもらうのも同じだ。
インターネット人口が増えて来たから、自然に増えてきたという感じだね。
かんべえ 僕はインターネットの普及によってある種のルネサンスが起こるんではないかとって思っているんです。
だって師匠のサイトだって1日に1000人以上のアクセスがあるわけだし。個人が簡単に情報発信できるようになってきましたよね。今までだったら埋もれていたような才能が、これで一気に開花する可能性がある。
昔だったら地方に住んでいて小説家になるというのは大変難しいことだったと思うのですが、今なら十分ネットのおかげで可能性がありますよね。
師匠 だいたい、今の本の作り方間違ってるよ。だって、本の半分は返品で廃棄されるんだぜ。そんな非効率が商品はほかにないよ。『グリーンスパンの魔術』も随分残っててさぁ。
運営者 自虐的な話はやめましょうよ。
田中 『ビッグバン時代のネット活用術』はどうなりました。
運営者 ホントにやめましょうよう。近いうちににおそらく再販制度は廃止になるか、なし崩し的に機能しなくなりますから、その後は出版社が自分の責任で本の内容を見極めて出版するようになるでしょう。
アマゾンが進出したのも、カルフールの入口の横に巨大な書籍売り場があるのも、おそらくは再販制度廃止を見越してのことでしょう。本は値引き販売されるようになるかもしれません。そうすると値引き販売しなければならないような本は、必然的に出版社の側が作ることができなくなるわけです。うーん、まあいいや、そんな話は。
師匠 うん、だいたいわかった。一を聞いて十を知るから。(笑)
運営者 お願いしますよう。私も一応この業界で飯を食べていこうと思ってますんで(笑)。
【ご注意】 この座談は2001年に行ったものです。内容が古くなっているカ所がある可能性があることをお断り申し上げておきます。