爆笑! 四酔人サイト問答
マスコミは情報の格付け機関、
ならばサイトの役割は?(4)
かんべえ これは師匠がよく言っている話ですが、情報源がいくらたくさんできたとしても、結局24時間の分捕り合いになりますよね。書籍とインターネットで、1人の1日の24時間を奪い合うとして、今のネットに対抗できるか。例えば、僕なんか深夜に2ちゃんねるを見ていて、笑ったり、怒ったり、どうかすると感動して深夜に泣いちゃったりするわけですよ。新聞なんか読んでる時間がない。
田中 それもどうかと思うけどな。(笑)
かんべえ そういう中で、これから如何にして紙媒体は、生き残っていくんでしょうね。
運営者 ハイハイ、紙媒体だけの生き残りなんて無理ですって。テレビ、新聞、ラジオ、出版、映画、音楽、ネットまで含めた大括りのメディア業界大再編成が起きるでしょう。
そのときにメディアに最後に残る機能は、さっき言った情報を格付けする機関になるということです。そうならなければ、単体として生き残ることができるメディアはないと僕は思います。
田中 よく「文章はなにが強いのか」という話になるのですが、文章は情報の格付けに最も適しているということだと思います。
しゃべり言葉というのは、「なんとかでぇ、それでぇ……」という具合で、情報の順列、軽重を整理していないわけです。
、じゃあ、映像はというと、耳で聴くことができる範囲でしか情報がないわけです。
活字というのは、「なおかつ」とか「しかしながら」という接続詞が、結局情報の格付けのツールになる。とすれば活字メディアは衰退しない。そこで重要になってくるのは結局、編集ノウハウでしかない。媒体は問わないということです。
運営者 だいたいメディアの区分というのはなくなってくると思いますよ。つまり雑誌と同じようなところにサイトも入り込んでくる。出版もサイトも現状あまり境目がなくなってきています。放送と通信の区別もわからなくなる。
田中 常時接続は、その第一歩ですね。になると、もっと境目がなくなりますよ。今は通信コストが高いので、メールマガジンのほうが読者が多いですが、多分それはホームページと逆転するでしょう。日本のサイトはゲームっぽいものが人気で、長文を読ませるものが少なかったのですが、それも徐々に変わってくると思いますよ。アメリカではすでに活字編集者が続々とネットに引き抜かれている。そこに映像などのノウハウが融合してメディア手法が生まれることになるでしょうね。
師匠 でもさあ、CRTってずっと見てると疲れるよ。満員電車の中でホームページ見られないよ。
田中 それはあっと言う間に改善しますよ。ディスプレイを垂直にしてみるのと横にして見るのとでは、認識力が全然違うんだそうです。これもサイト仲間の森行生さんから昔聞いたけど、情報の浸透力が8割から5割違うらしい。携帯性という点でいうと、CRTが液晶になって、そのうち紙みたいに薄くて、くるくる巻くことができるディスプレイもできると思いますよ。E-Inkは実用化の可能性が高いと思うし、paper computerという会社もあります。
運営者 あともうひとつ言うと、プレジデントがどうしてあれだけ部数を伸ばしたかというと、本当はただの講談本なのに、会社で読んでいても怒られない体裁にしていたからですよ。それを考えると、今のパソコンであれば仕事場でホームページを見ていても分からないわけじゃないですか。仕事をしてるように見える。そういうカムフラージュもできますよね。
田中 アクセス制限している会社もある。ある会社の広報の人から聞いたのですが、なにか聞いたこともないマイナー雑誌が取材に来ることになった。そこで広報の人はインターネットで調べてみようと思って、その雑誌のホームページにアクセスしたんです。そうすると、いきなり「このサイトは部長以上の人でないとアクセスできません。閲覧の申請をしてください」という警告がブラウザーに大きく表示されたっていうんですね。すごく恥ずかしかったと言ってましたよ。さかずに「広報室のパソコンだけはアクセスフリーにしてほしい」って。
【ご注意】 この座談は2001年に行ったものです。内容が古くなっているカ所がある可能性があることをお断り申し上げておきます。