爆笑! 四酔人サイト問答
理想が大切か、手法が重要か?(2)
師匠 岡本、お前はかなり傲慢だということがよく分かった。君は、そんなこと気にする必要はない。
田中 メディアにそんな力はないってことですよ。
事件報道をやってるときに、「こいつはとんでもない奴だ」、とやっつけてやりたいと思うのが事件記者の思いですよ。だけど、「これをこのくらいのスタンスで報道すればこれくらいの社会的制裁が行われるだろう」と思った瞬間にそれは傲慢でありメディアじゃなくなるわけですよ。
師匠 ホームページを持っている人間としてはそういう気持ちが常にあるんだよ。「ここでこんなこと書いて何になるんだろう」と。
運営者 田中さんの事件報道のように既に起こってしまった悲劇について報道する視点と、現在進行中の政策について「我々の社会全体のためにさらに良い方向を見つけるにはどうすればよいか」を考える視点とは、幾分かの開きがあるように思えます。
僕がサイトに書いていることは、選挙で投票するのと同じ気持ちで書いているとさっき言いましたよね。そして僕はワシントン・ポストが何を書こうが、ニューヨークタイムスが何を書こうか、彼らと同じ対等な立場で発言しているという矜持があるということです。
かんべえ それはかなり傲慢だよ。
運営者 じゃあどうしてワシントン・ポストは発言してもよくて、僕は言ってはいけないわけ?
かんべえ それはね、信用度の問題なんですよ。読者に対する自分の信用度を高めたうえで世に問うのであれば問題はないんです。
師匠 君は明日死ぬかもしれない、でもニューヨークタイムスは編集長が死んでも新聞は明日も出るんだよ。
運営者 そういう発想であれば僕はサイトで発言はしません。僕は自分が生きている限り、自分が正しいと思ったこと発言するだけです。それが発言する人間の矜持ですって。
田中 でも結果としておんなじ影響力があるかどうかは別。
運営者 だから影響力は問題じゃないんです。
かんべえ あのね、影響力を考えなければビジネスモデルとして失敗しているんじゃないですか。拡大再生産ができなければ、世の中を変えることもできないわけだし。
運営者 いいですか、ビジネスモデルというのはビジネスに適用されることであって、今のお話は、私の表現の機会がサイトに限定されている場合という前提なら正しいと思いますが、実際はそうではないですから。
田中 だって、ブランド・ビルディングを考えているんでしょう。
かんべえ ブランドを狭い方に狭い方に持っていっているから、「それはまずいよ」と言ってるんですよ。
運営者 もし本当にそうならば僕は自分の認識とこのサイトの方向性の修正を迫られるのですが、今のところ僕はその必要は感じない。
かんべえ それはね、加藤紘一氏がやったように、ものごとを純化するとろくなことはない。
師匠 やっぱりね、汚濁を呑みながらいかなきゃいかんということだよ。
運営者 あのですねぇ、汚濁を呑むのは、その人が汚濁を呑む戦略を採っているからですよ。僕はそういう選択はしていないわけです。
師匠 お前、生きていること自体が汚濁だよ。(爆笑)
運営者 それは師匠の戦略であるかもしれないけれど、少なくとも僕の戦略ではありません。師匠は1億2000万の日本人すべてが汚濁を飲まなければならないと思っていらっしゃるんでしょうか。僕はそうは思わない。
【ご注意】 この座談は2001年に行ったものです。内容が古くなっているカ所がある可能性があることをお断り申し上げておきます。