「経営センス」は学校で教えてない
インタビュアー 飯坂彰啓
飯坂 ビジネスセンスというのは、要は資本主義なんだから資本があるのなら、その資本を生かしてニーズに対応して売り上げを上げ、経費を差し引いたうえで利益を上げるということが、本質ですよね。
運営者 それは「目的」ですよ。そのためどのような手段をとるべきかということがまずちゃんと分かっているかどうかということです。
飯坂 でも、「利益を上げることが重要だ」ということすら分からない人たちがいっぱいいますよね。
運営者 その時点で、そういう人はとてもじゃないけどネットベンチャーの人材でもなければ、基本的には「社会人」ですらないわけです。
飯坂 そうだね。情けない話だな。
運営者 でもそういう人たちばかりなんですよ。日本の会社は。
つまり、本来社会人として必要なのに、学校で教えてないことというのがいっばいあるわけで、学校で教えないことの中で一番大きなことというのが「経営センス」だと思うんです。つまり経営センスがあれば、「無駄なことをやっていてはいけない。瀬戸大橋を3本も架けていては自分にとって損だ」ということが分かるはずなんですよ。我が国ではこうした経営センスが重視されていない。それは日本人は一般的に集団指向性が極めて高いから、その集団の中にいてうまく立ち回っていさえすれば生きていくことはできるからでしょう。
飯坂 まあそうですね。役に立たない学問であろうとも、そのテストに100点を取っていればいい学校に行けるし、同じように会社に入って仕事を与えられ、それがたとえ儲からないものであろうと何であろうと、そこで減点をゼロにしていけば出世することができると。
運営者 なぜ減点主義なのかというと、それは集団の中でうまくやれるかどうかを見ているということだと思いますね。利益を上げるかどうかは二の次です。
飯坂 敵をつくらないというか。
運営者 それは「新しい価値を作る」という目的とは何の関係もない能力なんですよ。所与のものとして与えられた構造を維持していくだけ、新しい要素を付加しても評価はされない、ということです。
飯坂 新しいことを付加しても、それを評価できる人がいませんからね。逆に新しいこと付加しようとすると、「組織を乱した」と思われて減点されるわけですね。
運営者 その通りだと思います。だから、社会の秩序を乱したり、あるいは和を乱したりするようなことというのは絶対にカリキュラムの中に入るはずがないわけだから、果たして教えられることは今まではなかったわけですよ。