そごう債権放棄「これは世も末だ」
インタビュアー 飯坂彰啓
運営者 それで、旧日本型経営のカイシャが置かれていた状況をまさに象徴する、僕がここのところ「ホントにすごいな」と思った経済事件が先月ありまして、それはそごうの問題なんですけれど、これは凄かったですね。
「預金保険機構が債権放棄に応じる」というニュースを見たときには、「これは世も末だ」と思って嘆き悲しみ怒りましたね。だけど、結局法的整理という方向に行ったことで、本当に安堵しました。もしあれが通っていたら、住専以来の公的資金導入の伝統なんですが、それが今度は流通企業とかゼネコンなどのどうしようもないカイシャを税金を使って存続させるという、恐ろしいことに道筋がついてしまったわけですから。そんな恐ろしいことになるくらいなら、300億円かそこら国民負担が増えてくれた方がありがたい。
確か、僕の記憶ではそごうはバブル期に国内で30店舗、そして海外にも大規模店舗を10店以上進出すると、水島が大号令をかけていたわけです。横浜も千葉も10万平米近くあるという巨大店舗です。当時の水島はすごいワンマンで、メディアに対しても「いや絶対大丈夫」と豪語していたし、興銀というメインバンクを背にして、そのはったりに各銀行が融資を続けていったわけです。
このカイシャの百貨店子会社22社の資本関係はほんとに複雑で分かりにくかったんです。ある雑誌がちゃんと全ての会社の資本関係を明らかにする表を載せていたので、「すごいな」と思った記憶があります。社内情報でしょうけど。
しかし、僕はあの店舗展開を見ていて、「これは絶対無理だ」と思っていましたよね。しょせん無理だと。例えば有楽町そごうみたいな店があって、よく、地下鉄で降りて通り抜けるからわかるけど、あそこはずうっとああいう調子じゃないですか。
飯坂 あれもひどいね。
運営者 ひどいですよ。だから「百貨店としてのノウハウがないんだろうなぁ」というのが素人にも見える店舗なわけです。そんな足元のビジネスが駄目なカイシャが幾ら外国に店舗を拡げたって、「ちょっと経営として無理ですよ」ということがすでに分かっている。それであれだけの無茶をやって、どの面下げて6000億円も債権放棄を求められるのか。