ほ乳類になりたいと思っている恐竜は少なくない
インタビュアー 飯坂彰啓
飯坂 いずれにしても、知ってしまった以上はやっていかなければならないし、そういった精神的なインフラストラクチャーの裾野を広げていくことが、現在の日本の停滞感を打開する糸口になるのではないでしょうか。
さらには、こうした面でのアジア諸国との競争も、すでに始まっているんだと思います。例えば中国でも、遅れているとはいっても沿岸部の人間はかなり豊かな生活を楽しめるようになってきて、ワールド・バリューを身につける人たちもどんどん出てくると思います。アメリカに留学している人だって多いし。
運営者 とするならば、中国でもそのようなフリクションが生まれるということです。旧中国人と、新中国人の間で。
飯坂 その流れは、もう止めようがないですよ。
しょうがないから、それは運が悪かったとあきらめるしかないですな。それが嫌なら、田舎に引っ込んで何か適当な仕事をしていればいいということです。医者とかね。北海道の田舎に行けば、30歳そこそこでも院長待遇で、年収3000万円なんていう生活が可能ですよ。
運営者 わたしゃ、医者はできませんけど。そういえばね、大場さんが北海道東部に僻地医療に行ったときに、駅を降りたら鼓笛隊が出迎えてくれたそうですよ。鼓笛隊ですよ、鼓笛隊。
飯坂 だって、田舎じゃ鼓笛隊って言うもん。電車じゃなくて汽車だし。ディーゼル車は気(動)車ですからね。
運営者 じゃあ田舎にいればよかったのかというと、僕は東京に出てきたかったんですね。それで笈を背負って出てきてしまった。その時点で間違いなんでしょう。
飯坂 それはレミングが海に飛び込むような行動ですよ。
運営者 ひとりレミング。
結局そういう指向性を持った人間が、こうした悲劇にはまるということなのかな。
でも、フロンティアというか、世の中にまだ先があるとわかっているのに、そこに行かないというのは、不自然じゃないですか。
多くの人は孤立無援のまま、日本的な組織のしがらみと、旧日本国人と闘っているという状況があることを少なくとも認識してしかるべきだと思います。
飯坂 新日本人になるべき素養のある人たちに、それを知らしめて、新日本人になってもらわなきゃあ、同志を増やして。そうすれば孤独感からも逃れられるし。
運営者 オセロゲームみたいにパタパタパタとひっくり返せるはずなんだけど、なかなか角っこがとれなくて。
飯坂 明治維新のときもそうだったけど、病的な躁状態がないと革命は成就しないから。
運営者 新日本人の数がクリティカル・マスに達するのはいつでしょうか。
反応する人は多い、と言うか、ほ乳類になりたいと思っている恐竜の数は多いんですけどね。
われわれは知識があるから、恐竜は滅びるということがあらかじめわかっています。新日本人は今はネズミなんだけど。そのうちに直立二足歩行をするようになりますよ。それも知識があるからわかっている。そういうふうにならなければ、二本足で立っているアングロサクソンに勝てっこない。立てたとしても、まだ背丈が低いんだもん。