「我々は特殊だから」という言い訳はもう通じない
インタビュアー 飯坂彰啓
運営者 不勉強な人の一つの回避手段は、他の世界の人との接触を徹底して避けること。もう一つは、「へええ、やっぱりあの人はよく勉強しているなあ」と、外部の人と接触してもひたすら感心するばかりで、自分が不勉強であるということは別の次元のこととして処理できるふてぶてしさ、ある種の職務放棄を前提として生きていくというやり方があります。
飯坂 それ、日本人全体のことですよ。何か外国とのフリクションがあったら、「日本にもいいところがある」とか、「わが国は特殊である」とか、「日本的なものがあるんだ」とか、理屈にもならないようなことを言って、後は酒飲んでいれば忘れられるという感じで済ませてしまうというのが今までのやり方であったのですが、これからは果たしてそれで行けるものかどうか。
運営者 それは極めて自己中心的な世界観であって、一歩外したところから、「全体の中で自分はどう見えるのか」と上から俯瞰する視点が全く欠けているわけです。
飯坂 「日本は特殊だから」とか、「日本は変わっているのだから」と言う人たちは、その時点で終わりなんですよ。
運営者 そこまでひどい人いますかね。僕は一人くらいしか知らないなぁ。「日本は神の国」とか言った……。
飯坂 「これがわが社のやり方だ」とか「うち流」とかいう人もそうですよ。「うちのユーザーは」とか、「うちの客は」とか、ありもしない実体を盾にして自分の意見を強引に通してしまうというパターンもあります。
日本人の精神構造というのは、そのような根拠のないナルシズムによって支えられているのかもしれませんよ。論理性がないよね。
運営者 それで平気でいられるというのは、何か生存本能に欠陥があるのではないかとすら思ってしまいます。歩いていてよく穴に落ちないものですよ。
鎖国時代はそれでもよかったでしょうか、外国に国を開いた時点で夜郎自大ではすまなくなったのでは。
飯坂 夜郎自大はどこの国にもあることであって、自分の民族が特殊であるという建国神話は必ずあります。問題は、「神代の昔からこうなんだ」っていう言い訳の仕方がいまだに続いているということではないでしょうか。
運営者 しかし、編集者が勉強しなきゃ終わりだろうという感じがしますがね。実際のところは、そっちの方が多数派みたいですよ。
飯坂 そういう人たちには、勉強以外にやるべきことがあるのでしょう、なんかいろいろ。
運営者 俺バカだったのかなぁ。ほんとに毎日毎日闘ってましたよ。死ぬほど仕事してたし。周りから見るとそれってバカに見えたんじゃないかなぁ。
飯坂 わからない人から見たらバカに見えたでしょうね。
運営者 だから消えてもらってみんなほっとしてるんじゃないかなあ。しかしそれで本当にいいのかねぇ。