日本のリーダーの無能をガイジンが知ったら…
インタビュアー 飯坂彰啓
飯坂 だからね、ガイジンは日本というものをまだ理解していないわけですよ。彼らは、「日本の企業の中でもそこそこエグゼクティブを張っているやつをヘッドハントしてくるわけだから、能力は当然あるだろう」と思っているわけです。ところが実際のところは、日本の金融会社で、部長とかやってるような連中を、ヘッドハンターが「こういうのを捕まえてきましたーっ」と言って得意げに売り込んでいるだけなわけですよ。
それで、今のところはまだ顕在化していないけれど、「日本人のエグゼクティブは実は能力がない」ということが広いレベルで知れ渡ったら一体どうなりますかね。
それこそ、旧ソビエトが実は技術力がないんだとばれてしまったに等しいことが、日本でも起きてしまうのではないでしょうか。そう考えたら、これは恐ろしいことですよ。まさに日本は潰されてしまう。だって実際、能力はないわけだから。
運営者 日本の強さは、リーダーとかマネジメント層にあるのではない、ということは少なくともばれてしまうでしょうね。
飯坂 第二次世界大戦の時だって、「日本の兵隊は恐ろしく優秀だ。だけど指導者層はだめだ」ということが既に知られていたわけですから。でも今のところは、会社は違うだろうと思われているわけです。
運営者 それは、「幾らなんでもあれだけ戦争にこてんぱんに負ければ多少は学習するだろう」と思いますよね。でもあいつら、わかってるんじゃないのかなぁ、日本人がそんなにスマートでもクレバーでもないということは。
飯坂 そうでもないと思うよ。
運営者 それは日本の製造業の華々しい成功に目くらましをされているだけであって、製造業の現場は究極的に生産性が高くて、アメリカが研究したのはまさにこの現場であったわけですが、そことマネジメントの関係性についての考察というのは聞いたことがないですよね。それで東芝は、ノートパソコンで10年間でアメリカ市場で得た利益を、全部特許の侵害で吐き出してしまったわけですから、いったい何をやってたのかよくわからないわけです。それ考えたら、「コイツらは間抜けだ」とわかりそうなもんじゃないですか。
それに、ここまで生産性の低い金融業だと、とても外国の金融機関には対抗できないというのはガイジンにも見えそうなものではないですか。
飯坂 だんだん分かってきているだろうね。
日本は欧米にキャッチアップしたからもう学ぶことは何もないと言っている連中は、おこがましいもはなはだしいと思いますね。どこをどう叩けばそういう話が出てくるんだろう。そういう連中は、ヨーロッパにもアメリカにも行ったことはないのかと聞きたい。行ったとしたら、いったいどこを見てきたんだと思いますよ。
運営者 そう言えばね、日本は来年シンガポールと自由貿易協定を結ぶんだそうですよ。シンガポールという国は大変優れた国なのでそれは非常にいいことだと思うんです。この話を推進している人に話を聞くと、彼らは何を考えているのかというと、これをテコにして日本をもう少しまともにしようという発想らしいんですね。シンガポールはすごく優れたものをいっぱい持っているので、それを輸入するというところまではいかないかもしれないけれど、ある程度感化を受けることができるんじゃないかという感じですかね。