仕事は社会に繋がっている、だから責任がある
インタビュアー 飯坂彰啓
運営者 仕事をするということはどういうことなのか、単に自分がカイシャで時間を過ごすということだけではなくて、ノルマを達成するということだけではなくて、自分の仕事は「顧客につながり社会につながり大きな広がりを持っているんだなあ」と言うことを認識しなければならないですよね。
飯坂 身内にだけ自分のつくったものを販売している間は、それは必要のないことなんだよ。
運営者 なるほど。三菱自動車だと、22年間モデルチェンジしなくて「走るシーラカンス」と言われたデボネアは、三菱グループの社用車としてしか売れてなかったですからね。逆に三菱系企業に社用車が必要だから供給されていたし、それゆえモデルチェンジの必要がなかった。そういう文化である。今度のディグニティは1000万円もするというし。
僕、一度だけデボネアに乗ったことがあって、それは日本ラヂエーターという会社があったのですが、そこの会社は部品メーカー大手で、全自動車会社と取引しているので、全メーカーのおつき合い用の車を持っているわけです。それで、たまたま社長と乗るときにデボネアに乗せてもらったというわけなんです。クラシックでしたねえ。
3、4台の車で移動したのですが、全部メーカーの違う黒塗りの車でしたね(笑)。
あと、築地の電通の本社のエレベーターは、全部違うメーカーのものなんだそうですね。みんないらない苦労してますな。じゃあ三菱系企業の広告部長が電通を訪ねたら、他のエレベーターをやり過ごして、三菱のが来るまで待ってたのかな。それじゃ、バカですぜ。系列だけで食っていく世界ではしょうがないわけで、もっと市場をオープンに求めていかなければ。
飯坂 と思い立った旧日本国人が開いて読んで、「俺はこれは勉強している」と思い込むための雑誌が「プレジデント」だったんでしょう。
運営者 あれは、教材というよりはスタビライザー(精神安定剤)ですよ。
飯坂 あるいは、「自分はかなり読書して勉強している」という人の本棚に置いてあるのが長谷川慶太郎でばかりであるとか。そういう誤謬がいっぱいあると思うんです。だからただ単に、勉強してまじめにやりなさい」というだけではだめで、何が本当に必要なのかということを理解していただかないと。
そういう勘違いした上司の命令に従う方の身にもなってくれよ、ということになりますわ。
運営者 まさにその通りだと思います。だけどね、自分がどの本を読むべきかとか、誰に学ぶべきかということをどのようにして知ればよいのか。これって難しいですよね。「週刊ダイヤモンド」が、新入社員や学生向けにやっている「日本経済の謎」みたいな記事を参考にしますかね。
飯坂 まあ、わかるわからないは別にして、とにかく読んでみるというところから始めるのかな。
運営者 読書百遍、義自ら見る。うーん、私にはできませんが。
飯坂 それから、そうした場に身を置かないと、そういった概念は理解できないし、自分からも出てこない。仮にそういった本も読んでもまったく理解できない。
運営者 経験との照らし合わせが必要ですね。もう一つは人に教えてもらうことかな。ポイントは、その時に自分が知識を吸収したいと本当に思うかどうかじゃあないんでしょうか。
飯坂 それが習慣化すると。逆かな、習慣化したせいで「ホントのことが知りたい」という欲求が出てくるのかも。
運営者 じゃあ簡単じゃないですか。勉強をある程度をしなさいという動機づけを部下に与えればよい。でも、上司が率先して「難しいことがわからなくても何も問題ない」と考えている以上、それは無理ですな。原因はそちらですかな。