煮詰まった状況を変えるために
インタビュアー 飯坂彰啓
運営者 いったいぜんたい、モー娘に文化を牛耳られていていいんですか。
飯坂 文化の受容度は個人差があって、均一ではないですからね。つんくというのは、それなりに才能のある人間だとは思いますがね。
運営者 それはね、彼が書いているものは何かということを客観的かつ経験に照らし合わせて認識することができる、インテリの受容の仕方だと思いますよ。
飯坂 「結婚、結婚」と歌っているのを見て、「ああ、インド風とかイスラム風とかいろいろな戦略的な展開の仕方があるのだなあ」と感じますが……。
運営者 そんなもんインテリの受け止め方以外の何物でもないじゃないですか。
そういう受け止め方をする文化的な素養がコンビニの前にしゃがんでいるガキどもにあるかというと、それはないわけですから。彼らはメッセージをそのまま受け取って、その色に染まるような存在でしかないわけです。「結婚、結婚」と吹き込まれれば、「あ、結婚すればいいんだなぁ」と単純に受け取るだけです。だからバカだっていうんですよ。インテリの受け止め方と、彼らの受け止め方の間には、はなはだしい逕庭があるわけです。そこを認識しなきゃ。彼らに吹き込むべきものは、つんくだけじゃダメなんです。
飯坂 インテリじゃない人はインテリじゃない人で、幸せに生きられればいいじゃないですか。
運営者 そうすると、インテリの側は竹林の七賢になる。であるならば、別に社会について論じる必要はないわけです。
飯坂 僕はそれよりも、むしろ企業の経営者層であればインテリであってしかるべきですよね。しかし彼らはインテリ然とした行動を取っていないということがまず一番問題だと思いますが。
運営者 ですから、しゃがんでいるガキだけじゃなくて、企業の中でも何も考えていないトップや幹部がいる。問題は多岐にわたっています。だから、新日本人を無理やりにでもつくって、日本が今後進むべき方向性をインテリが無理やりにでも示さなければならない、それは何のためかというと、現在の煮詰まった状況を変えるためなんです。
だいたい、「バカはバカで放っておけばいいじゃない」とおっしゃいますが、バカにもコストがかかるんですよ。直接的にはね、例えば東京都内でヤンママが子供を産んだとするじゃないないですか。公立の保育所に預けると、一月に1人当たり50万円ほどが行政から措置費として保育園に支払われてるんだそうです。その分は、高給で雇われている保母の人件費に充当されるのですが。というのも、一人当たりが面倒を見る子供の数は。厳密に決められていますからね。つまりこれは、まじめに価値を追求し、税金を納めている人たちから、ぶら下がって生きている人たちに対して所得移転が行われているわけです。
飯坂 それなら、われわれだって子供をつくって保育園に預ければいいだけの話じゃないですか。
運営者 じゃあね、飯坂さんが結婚して子供ができたとするじゃないですか。高所得者層の場合、共働きであったりすると、延長保育が必要な保育園に預けなければならないですよね。そういう保育園は公立ではないので、さっき言った税金による補助はないんですよ。つまりね、コンビニでしゃがんでいる連中が、飯坂さんが納めた税金を食ってるということなんですよ。
今後もし、税金にぶら下がって生きる人間がどんどん増えれば、セーフティーネットの枠は拡大するでしょうし、まっとうに働いている人のほうの社会保障費負担はどんどん増えることになってしまいます。つまりバカを放ったらかしにしておくということは、まともな人が損をすることになるんですよ。社会は、全員で守っていかないと、簡単に崩壊するんです。
飯坂 うーん。