アリが泣きを見て、キリギリスが得をする社会
インタビュアー 飯坂彰啓
運営者 だから、バカを止めるために、根本的なところから直さないといけないわけです。バカを止めるというのはなかなか大変な労力がかかることなんですよ。どう言ったってわからないんですから。「お前これ、自分の足食ってるだろう」、といくら説明しても、喜んで食ってるわけですから。朝三暮四どころの騒ぎじゃないですよ。その上ものの値打ちはわからないし、指摘されるだけ逆恨みされるんですから。この矛盾には、耐えがたいものがありますよ。
ぶら下がり人間が得をする世の中の仕組みになっているんですよ。旧日本国のシステムの行き着く先は、アリが泣きを見て、キリギリスが得をする社会制度なんです。それじゃあダメでしょう。キリギリスの方が地べたにしゃがんでていてデカイ面してるんだもん。かつ徒党を組んでオヤジ狩りをしているわけで。
浮浪者は生活保護を受けているわけではないんですよ。ところがガキは大きな顔をして勤労者から所得移転を受けるわけですから。それでいて税金を払っているオヤジを狩っているというのはあんまりですよ。「お前ら自分の立場をわきまえろ」という話でしょう。
それだったら、僕は「この先に来るものはいったい何なのか」ということを見据えて、それらの情報や知識を統合して文芸復興を行い、新しい文化を起こして、大衆文化へのカウンターカルチャーとして、百年先に残るとは言わないが、現状から将来的な変革を展望した文化をつくることができると思うんです。そのくらいのことを考えないと、とてもじゃないけれどこの沈みゆく国を個人の立場から変えていくということはできない。それができれば、ガキの中から救世主を見出すこともできるかもしれない。
飯坂 「モー娘に対抗する文化は、日本古来のお茶やお花」と考えられても困っちゃいますよね。
運営者 それじゃあ全然戦略的に間違っているでしょうね。必要なことは、企業がある戦略を立てて大きな製品市場をつくるように、着々と戦略的に、資本を最高度に回転させて効率的に文化構築できるかという、ほとんど経営的な問題でもあるんですよ。
僕が言っているのは、バカが増えることによって、そいつらを養わなければならない側の人間の負担が増えるのが怖いということです。それは自己防衛的な当然の感情だと思いませんか。もうお先真っ暗ヤミですよ。
飯坂 森嶋通夫さんが言ってることですよ。人口動態は唯一確実な経済予測であると。
運営者 それで言うと、少子化というのは1975年からスタートしているんです。この年から子供の数は減り始めました。ですから今25歳のところまできているわけです。だからもう既に学校は経営的に大変厳しい状況に追い込まれていますし、教師の数も減らさなければなりません。この先は、例えば百貨店の1階は今まで20代の女性向けの商品を展開してきましたが、ここの売り上げがすでに減り始めている。だから、売り上げを伸ばそうと思ったら狙う客層を変える必要が出てくる。そういうふうにして、消費行動の変化が徐々に現れてくることになるでしょう。