「自分たちの地域は自治する」という意識
インタビュアー 飯坂彰啓
飯坂 それでね、日本人がこれからどう生きればよいのかという問題なんですけれど、確かに東京は世界的に見ても都会になったと思います。しかし東京に住んでる人でも、田舎のマインドのままの人が多い。
運営者 都会者は自立していないと困るんですけどね。
だけど僕は、地方に住んでいる人にも自立してもらいたいと思うんですけど。
飯坂 理想的なのは、地方の人が都会に出ていったん自立して、田舎に帰って暮らすということなんですけど。
生まれた所でなんの疑問も感じずに、土着的にお天道様の恵みを受けて育って、郷土の企業に就職して、外の世界を知ることなく一生暮らすというのはこのうえなく幸せなことですけど、もう既にそのお天道様の恵みが受けられなくなっているわけです。今まで照らしてくれていた太陽は沈んでしまったんです。
運営者 困りましたねえ~。
飯坂 自立するということは、自分自身の手で太陽を創り出すという意味なんですよ。これはなかなか難しいことですよ。
運営者 だけど、飯坂さんの田舎の北海道には独自産業がいっぱいあるじゃないですか。
飯坂 自立しているものは非常に少ないです。北海道は、田舎というよりは植民地ですからね。
運営者 明治から昭和初期までには各地に起業家精神が旺盛な名望家がいて、何でもかんでも目についたものは会社にして、工場を作り、鉄道を引いて独自の産業を作り出していたものですよ。どうしてそういう灯が消えてしまったのかな。
飯坂 それはだって、江戸時代には各藩に首都があったから。
運営者 各藩の首都で文化が作られていて、その自立心の流れをうけて独自の産業をつくる起業家を輩出していたのでしょう。その流れを復活させなければならないのではないでしょうか。
だから総務省償が「自治体の数を3000から300にしろ」と言っているのは、僕は大賛成ですよ。地方財政の立て直し以上の効果があるはずですよね。
飯坂 まあ、300という数がいいかどうかは別にして。道州制よりは三百諸侯復活の方がいいでしょうね。
運営者 「自分たちの地域は、自分たちで自治していく」という意識を持つこと。それと税金の使い方の決定権も、より住民に近いところに持たせるというのは大切なことです。中央集権体制で、役人の適当な感覚で資源配分を決定している現状は正す必要があるでしょう。
飯坂 制度をそのように変えたとして、メディアをどうするかという問題が残っていますが。
運営者 そうですね、困りましたね。メディアというのは表面的かつ画一的な価値を全国に流していますから。どうしようもない奴等なんですけどね。
飯坂 大企業はナショナルブランドでないと食べていけませんからね。
運営者 ああそうか、広告手段としてのマスメディアという企業からの要請はありますよ。だけどそれは、メディアの機能のごく一部にしか過ぎません。もっと頭の良い戦略的なメディアの使い方もできるはずですよね。