没落した関西人のぶら下がり意識
インタビュアー 飯坂彰啓
飯坂 関西は金持ちも多いし、使用人を使って家業として経営をやっていく分には問題がないんだろうけれど、それでも全体的にみると没落していってしまいましたね。
だから、日本が60年前にやった没落と同じような没落を今やるのかというちょうど中間地点で、この大阪の没落があるんです。だれか経済学者で、関西の没落を日本全体の不況と関連付けて研究してる人はいないのかな。なぜ日本の中の都会であった上方が没落したのか。
運営者 田舎になるということは、神を信じ始めるということでしょう。あるいは神に頼り始めるということでしょう。
飯坂 それは田舎者は、一心不乱に働くからね。
運営者 昔の関西商人は、自主自立自尊の精神がすごくありましたからね。
飯坂 今でもかけ声だけはあるよ。
運営者 あります。だけど掛け声をかけているのは企業家だけで、ついていく連中は「ぶら下がろう」と思っている連中が多いのではないでしょうか。どうやらそのあたりが原因のような気がするんですけど。
飯坂 そうかもね。でもその企業家だってユニバーサルスタジオ頼みだとか、オリンピック頼みだとか……。
運営者 必要性のない関西空港の2期工事を強行しようとしたり。
結局だれにも、どのようにすれば自分たちの持っている資源やノウハウで新しい価値を作ることができるかということが見えていないということだと思うんですよ。
関西出身の企業家たちは昔から、自主自立自尊の精神や、優れた商売の感覚を持ってるんですけどね。
飯坂 関西人から見たら、東京なんか田舎者ですからね。
運営者 こういうことでしょうかね、昔は日本には大阪と東京という2つの核があったんですよ。それが徐々に大阪という核が衰退して、昔は一本立ちしていた大阪か、徐々に東京に寄りかかるようになってしまった。
で、ポイントは何なのかというと、どうすればこの均衡が崩れるのか、ということです。
企業の本社が東京に移転するとか、工業出荷額が相対的に低くなるということは付け足しで、本質的なことは、そこにいる人たちの中で、依頼心を持っている人たちがだんだん多くなっていってしまったというところが問題なのではないかと思うんです。
これは統計的に数字をとることは不可能だと思いますよ。過去の人間の意識がそのように変化していったというのはほとんど数値化するのは不可能でしょう。
飯坂 何か相関性があるような数値をとって、それを統計的に処理して……。