なぜ自分を信じ、自分の力で闘おうとしない?
インタビュアー 飯坂彰啓
運営者 飯坂さん、関西に行くと、関西人のぶら下がり意識って感じませんか。
僕は地下鉄に乗っていて中吊り広告を見ていてそれを感じることがあるんですよね。宝塚ファミリーランドとか、枚方パークとか、遊園地の広告なんか出てるじゃないですか。その夏休みの催し物の宣伝の文句なんかが、オリジナルじゃなくて、中央でやっていることのパロディーになっていたりするわけです。別にセンスが悪いだけなら何とも思わないんですけど、「何かにぶら下がっている」という感じがすると、僕はものすごい反感を覚えるんですね。
飯坂 反権力っていうのは、権力がなければ成り立たないわけで、結局権力にぶら下がっているということなんだな。
運営者 という感じですよね。だから関西人が、関西で「トーキョーなんかぶっ飛ばせ」と言っているときには、常にそれがまとわりついているような気がするんです。
ついでに言うと、僕が本当に嫌いなのは、NHKの娯楽番組なんです。
どうしてかというと、NHKのバラエティー番組とか、クイズ番組といった娯楽番組の内容は、民放の企画力にぶら下がってるからですよ。それも細かい点で、効果音の使い方とか、番組の組み立てとか、「民放がここまでやっているから、NHKはこの程度までやってもいいだろう」ということだけを基準にしているように思えるんです。全部サルまねですよ。
放送時間でいうと、そのような下劣な民放のまねをした番組を、かなりの時間流していると思うんです。もし僕がNHKで働いているとすると、あれだったら「制作から外してほしい」と言うと思いますね。
民放がやっていなくて、かつNHKの番組の許容できる範囲で非常に面白く感じられるオリジナルのものを提案しなきゃ。それができないと、クリエーターとしての仕事の面白さはないですよね。NHKの娯楽番組を作っている連中には、あまりにもオリジナリティーがなさすぎですよ。
昔はNHKしかなかったんですよ。日本テレビが放送を始める昭和28年までは。だから、彼らが娯楽番組のオリジナルを作っていたんです。「二十の扉」とか、「連想ゲーム」とか。アメリカの番組のパクリもあるでしょうが。その競争力は、民放が花盛りとなった後も、そんなに遜色はなかったと思います。ところが今は、見る影もありません。ふざけ切ってますよ、ホント。
飯坂 それは、自社制作してるからじゃないですか。系列の制作会社と。
運営者 結局でもNHKは、自分たちで、自分たちのやれる範囲に枠をはめてしまっているわけです。その枠の基準というのは、民放に頼っていて、「民放がここまでやってるんだから自分たちはその内側の線までやってもいいだろう」という感じですよ。そういう基準の作り方が、本当に許せないんですよ僕は。なぜ自分を信じて、自分の力で闘おうとしない? 好んで自分を殺そうとするのか?
飯坂 わかるわかる。
運営者 それと同じことを、関西の中吊り広告やテレビのコマーシャルからも感じるんです。東京にぶら下がって作ってる感じがするんですよ。それじゃだめなんです。