なぜユーラシア大陸に文明が発達したか
インタビュアー 飯坂彰啓
飯坂 そうですよね。
日本を文化立国といっても、結局アメリカ文化にぶら下がってるわけじゃないですか。ヨーロッパの文化を骨格にしたアメリカ文化の、さらに骨格を取り入れて、日本の大衆文化は作られているように思いますね。それを、台湾だの中国だの香港に輸出していると。
運営者 そういう他者依存的な傾向が、NHKには顕著に見受けられて非常に嫌ですね。一応私、受信料払ってますんで。
飯坂 問題は依存心ですね。
運営者 なぜ人は他人に依存するのか。それは社会的動物であるがゆえに持っている1つの機能なんです。犬と猫の違いなんですよ。
犬が人になついたり、命令をよく聞くのは、犬が集団で狩りをする動物であるという以上の理由はありません。リーダーに従うという性質を持っていますから、自分が従属的な立場であると認識すれば、相手の命令を喜んできくわけです。そういう行動がインプットされている。反対に猫は、集団で行動しないから、人の言うことなんか聞く必要はないわけですね。
飯坂 それは非常に重要なことでしてね、ジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』によると、馬とかヤギとか牛とか、全世界でもメジャーな家畜というのは6種類ぐらいしかいないんですよ。パニックにならないとか、従順であるといった性質を持っている動物は全体で10数種類しかいないだそうです。家畜になるのはその中の動物なんですね。シマウマがなぜ家畜にならないかと言うと、飼われているという状況にどうしても適合できないんだそうです。先天的にね。
それは、なぜユーラシア大陸に文明が発達して、アフリカとアメリカは征服されたかという話につながるんですけどね。
運営者 へええ。
飯坂 それらの家畜というのは、すべて中国や中央アジア・中東あたりを原産としていて、そこから緯度と同じ横方向に移動していったのそうです。気温が同じ方向に広がりますからね。そのようにして家畜が広がるところは、文明の程度も上がっていったわけです。だけど、アメリカ大陸や、アフリカに家畜が移動するためには、緯度の差を超えなければならなかったので、それは非常に広がりにくかったわけです。だから文化の集積が起こりにくかった。それでユーラシア大陸にだけ文明が発生したというんですよ。
運営者 なるほど、世の中にはすごいことを考える人がいるもんですね。
飯坂 大事なのは、コミュニケーションです。
運営者 地政学ですよ。
飯坂 地政学としての、距離概念に基づいたコミュニケーション。
運営者 アレクサンドロスが東に移動していったのは、正しいんだ。
それでね、僕自身は犬の方が好きなんですよ。
飯坂 自分ではどちらなんですか。
運営者 犬ですよ。今は1人でいますけど、どこか集団の中に入って仕事をするというのはすごく楽しいことだと思ってるんです。楽しいと思いませんか。