日本人はこれから
どのような生き方をしていくのか
インタビュアー 飯坂彰啓
運営者 だから、経済の話に戻すと、マクロの対策をこれ以上どんなに打っても、ムダだと思いますよ。
各人が一人ひとり、意識的に自立し、自分の役割意識を持ち、社会や自分の属する組織に積極的にコミットしていくという姿勢を取り戻さなければ。そういう意識転換があって初めて、「では今までのやり方ではダメですから変えましょう」という形にならないと、現状からの脱却は難しいでしょう。
他に方法があるんかいと……。
飯坂 もうソフトランディングは無理だと思うよ。ハードランディングシナリオも、ランディングできればまあいいかと。
運営者 ランディングできないということもあるわけですか。
飯坂 クラッシュだね。
運営者 どうしようもないですからね。
飯坂 日本にもまだ資源が残っているわけだから、それを騙し騙し使いつつ、縮小均衡を図っていくというのが一つのシナリオかな。変わりたくないのなら、それしか道はないからね。
運営者 じり貧シナリオですね。それができれば、悪くはないかな。現実的には縮小経済ですからね。年率3%で縮小するということは大変なことですよ、これは。
飯坂 工場が中国に逃げていってしまう。そうすると、失業者が出るから「公共事業をやるしかない」と主張する人も出てくるわなあ。
運営者 亀井はそういうところはよく見てますよね。人気取り政策はできる人ですな。そこよりも先は見ないようにしているのかな。
旧日本人ってのは、本当に人当たりがよくて好かれますよね。資源配分をするだけですから、みんなに好かれます。「ハーイ、よい子の皆さん、僕の回りに集まってきなさい。これからお菓子をあげるよ。はい、みんなお菓子をもらったかな、これから紙芝居始めますよ~」てなもんですから、それは人気があるでしょうよ。
飯坂 やっぱり、「みんな自立しろ」と言っても難しいですよ。日本人はこれからどのような生き方をしていくのかということを見せないと。
運営者 「人と全く違うアイディアとか、今までにない新しいものを考え出すなんて自分にはできないことだ」と、みんなあきらめてるんじゃないですか。できないことはないでしょうに。
飯坂 あきらめているというよりは、そんなこと想像したこともないと思うよ。
運営者 だけど、それをやらないと、生きていけないないんだけど。
飯坂 10人が10人、新しいものを作れといっても無理だと思うよ。
運営者 だけど、「自分は他人とは全然違って、自分以外の何物でもないんだ」ということ突き詰めて考えると、人のまねをするということはナンセンスでしかないはずなんです。
なぜなら、人と全く同じことを後からまねしても、その人と全く同じ効用が受けられるわけではないんですから。
飯坂 「先行者の8割の利得が得られれば、それでいい」とする戦略なんでしょう。
運営者 そこで、先行者と自分との能力の差を見極めることができれば、期待収益率がわかりますよね。「先行者の80%しか行けない」とか、「120%いけるだろう」とか。「これをマネしても50%ぐらいしか取れないから、他の道を探した方がいいな」とか。
そういう計算をするためには、やっぱり自分と他人との違いがわかっていなければならないし、そういう考察を深めていけば……。