日本人の特性自体を変えるざるを得ない
インタビュアー 飯坂彰啓
飯坂 重大なことがあったよ。戦後日本の製造業は、アメリカをマネするところから始まったんだから、その時点から既に依存してたんだよね。日本企業が現在では独創性を多少は持っているとしても、それはアメリカを模倣することによって得られた利潤によって培うことができた独創性なんですよ。
運営者 ただし、その独創性が、その企業の知のベースの中に根を下ろしていれば、もう既にその企業は神に依存せずにすむ体質になっているんだと思いますよ。東レとデュポンの話とか、松下がフイリップスから経営指導料を取ろうとした話を思い出しますが。
飯坂 だからといって、そういう日本企業でも、今調子がいいというわけではないよね。
運営者 そうなんですよ。どんなに偉そうなことを言っていても、「ふーん、おたくROEいくら?」って言われるとみんな黙らざるを得ない。トヨタですら5.8%ですからね。それが日本を代表する企業なのか? さすが社会主義国ですよね、
飯坂 日本企業が、日本人の特性を利用して、高品質大量生産の仕組みをつくり上げることに成功したとしても、今回の意識改革を成功させるられるかどうかという話とは全く関係がないよね。
運営者 まったくその通りです。
飯坂 とすれば、為政者は日本人の特性を踏まえて、日本をどのような方向にもっていくか適切にディレクションしなければならないよね。
運営者 そうですね。だけど、混ぜっ返しですけど、「政治家」という言葉と、「適切」という言葉は取り合わせが悪くて結びつかないような気もしますけど(笑)。
飯坂 困りましたね。
運営者 詰まるところ、日本人の特性自体を変えるざるを得ない。それが僕が、「新日本人に移行しなければならない」と言っていることなんです。で、それは可能かと聞かれたら、「さあどうなんでしょうね」、ということになっちゃうんですけどね。
思い出しますよ。92年ごろですかね、「ゼロ成長というのはあり得るのか」という議論をしてたんですけど。それが実際にゼロ成長。それどころか反転期に入ってしまいました。
「人口が減ったら反転するかもしれないかな」と思いましたが、まだ増えてるのに反転してるんですからね。
飯坂 衰退だね。