共に堕ちて行こう、地獄の底まで
インタビュアー 飯坂彰啓
運営者 「堕ちていくのなら共に堕ちて行こう、地獄の底まで」という発想ですよ。
飯坂 理解できない。僕はまだ旧日本人のことを知らない。
岡本さんはやっぱり、10年間会社にいたからね。
運営者 僕はやっぱり、この辺の感覚はわかりますよ。
ここにもうひとつ、良い例がありますよ。01年9月23日の日経新聞記事の見出しですけどね、
特殊法人改革 「無傷」財務省に他省庁不満
予算編成控え批判しにくく
これなんか、典型的ですよ。
バカじゃないのか、こいつら! 要するに、他の役所と横並びで受苦するのであれば耐えられるが、どこか自分と同じ不利益を被らないところがあるのには耐えることができないということです。
日本人の持つ「平等意識」の本質は、結果平等主義であるということ。各役所がおのおのミニ天皇制で主権を持っているという勘違いもあります。これでいくと、大胆でメリハリの利いた行革をやりたいと思っても、ある役所だけ縮小することはできないから、国家の機能に重大な制約がかかっていることにもなります。
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飯坂 所得税減税のときにね、税金を元々払っていない人たちが、「我々には税金が返ってこない」と文句を言ったことがあるんだよ。「税金を払っている奴だけに還付金が戻ってくるのは、金持ち優遇で許せない」と。
運営者 すごいね、それは。そういう下司根性のやつもいるんだろうけれど、じゃあどうしてほとんどの人が、どうせ返ってこないのがわかっているのに国民年金を払い続け続けるのかということですよ。僕も払ってますけどね。
なぜなら、自営業者は401Kは公の機関(国民年金基金連合会=理事長は元厚生省年金局長)を通さないと買えないからですよ。そこがあるというだけで、役人にしてみれば確実に、年間報酬5000万円、2年勤めて退職金3億円の天下り先があるということですからね。非常に愉快ですよ、この国は。
飯坂 よくみんな、革命を起こさないよね。
運営者 そりゃそうですよ、みんな、自分だけが負担するのではなくて、「平等に均等に負担」しているのであれば問題を感じないですから。
飯坂 それは平等を履き違えているとしか思えない。
運営者 ダウンワードの平等でいいんですよ。誰も、「みんな、一緒に良くなるため頑張りましょう」、なんて言ってないんです。「苦しいんだけれど、一緒に耐えようね僕たち、なんで苦しいのかよくわからないけど」という話ですから。
そういう間違った連帯感を、自分たちの怠惰の言い訳にしようとしてるんです。
飯坂 アタマがくらくらしてきたな。
みんな和を築くことが一番の仕事だと思ってるんだな。
運営者 損得勘定というのは何か。損得勘定をやってみて、「これはだめだ、勘定が合わないな」と思ったら、あらかじめ手当てして帳尻を合わせるわけじゃないですか。賢いやり方ですよね。
僕の場合だったら、「この会社はだめだ、こんな雑誌つくってたら、その内どこかに買収されて恥をかくぞ」と思って逃げたわけですから。
ところがホントは、その逆の発想が必要なんですよ。「この会社のビジネスモデルは素晴らしいから、俺もここに入って働こう」という前向きの損得勘定ができる選択肢がないと。
飯坂 そう、ホントはね。