「新日本人」の意識構造はこうなっている
インタビュアー 飯坂彰啓
運営者 「自立性」からスタートして、新日本人はどのような意識構造を持っているかというと、2つの極を持っていると思うんです。
ひとつは、「合理性」を持っていること。
目的に対して非常に合理的に行動すること、あるいは経済合理的な思考を身につけていること。そのためには、「まず目的をしっかり決めて、それを最も安いコストで達成する必要があるのだ」ということ意識の中にたたき込んでおく必要があるでしょう。
もうひとつの極は、「社会性」をきちんと持っていることです。
「自分だけが幸せを独り占めしたとしても、自分の利得は最大にはならない」。それは人間が社会的動物であるからですが、この単純なことが旧日本人にはわかりません。新日本人は「常に全体利益を考えながら行動する」という視点を持つ必要があるわけです。
そして、合理的な思考と、社会的な思考の中間地点に、「市場性」という感覚が存在すると思います。
自分が作ったオリジナルの価値を、自由市場において、適切な価格で売る(交換する)ことができなければ、経済社会は成立しません。
これまで旧日本人は、閉鎖的な組織の中にあって、合理性をあまり考えない行動が許されてきました。年功序列秩序の中で、労働力の市場価値というのは全く無視されてきましたから。したがって、旧日本人は自由市場を必要とはしなかったわけです。しかし、経済社会を「自立した個人の集合体」としてつくり直すためには、自由市場を尊重する精神がどうしても必要になってくるはずです。
飯坂 「規制マーケット」というのは自立を否定した考え方ですからね。自由市場を認めるのは、"市場性を否定することで過剰な利益を得ようとする態度を捨てる"ということです。
また旧日本人的組織は、組織を統治する明快な理念に乏しいため、外部との障壁を高くすることによってムラ社会を維持しようとしてきたのです。外部のことを知り、出入りが簡単になっても組織にとどまることを選んでもらうためには合理的な魅力ある組織になる必要があります。