制度や組織だけでなく
「意識」を変えねばならない
インタビュアー 飯坂彰啓
飯坂 でも、個人がみんな旧日本人から新日本人に変身すれば、日本の社会は新日本人の社会構造に変化できるというわけでもないですよね。逆に構成員が旧日本人ばかりだったとしても、新日本人的な組織形態にすれば、みんな新日本人に変わっていけるのではないでしょうか。
運営者 僕は、そうは思わないんです。なぜかというと、新しい制度や経済システムを導入したときに、それがきちんと機能しないという現実を嫌というほど見てきたからです。
制度というものは、それを運用する人間によって曲げることができるからなんですね。早い話、どんなにセキュリティーに気を配った情報システムを作ったとしても、ヒューマンファクターによって機密は洩れてしまうものじゃないですか。
もし、制度が人を変えることができるのであれば、日本の資本主義はまっとうに機能するであろうし、直接金融の比率は6割を超えるであろうし、平均株価も上がって株式投資をコツコツと続けていれば老後の不安はないという状況になっているでしょう。
しかし日本の現実はそうではない。なぜならば資本主義が機能していないからです。日本においては、資本の論理は機能していない。それは会社の経営者も従業員も、「株主など意識する必要がない」、「利益など追求する必要がない」と思っているからです。
制度というのは、それを使う人の意識によって、運用のされ方が大きく変えられてしまうし、出てくる結果はまったく違うものになるということです。したがって、制度を変えただけで安心することなどできないと思わなければならないでしょう。
例えば食品の不当表示や偽装問題が起こった、それで新しい行政機関を作って、役所は結局焼け太りをした。それで安心していても、みんなの意識が変わらなければ、また同じ問題が起きるでしょうし、結局は税金が余計無駄に使われることになるだけなんですよ。
飯坂 だから、新しい制度を導入した時に、スーパーバイザーは新日本人でなければならないということですよ。
彼は部下である旧日本人の意識を新日本人的なものに徐々に変えていかなければならないし、同時並行で組織形態も新日本人的なものに変えていく必要があるでしょう。