変革の動きの中で新日本人は大量に出現する
インタビュアー 飯坂彰啓
飯坂 だから、新しい制度を導入した時に、スーパーバイザーは新日本人でなければならないということですよ。
彼は部下である旧日本人の意識を新日本人的なものに徐々に変えていかなければならないし、同時並行で組織形態も新日本人的なものに変えていく必要があるでしょう。
運営者 それは同時並行的に起こると思いますよ。
飯坂 自然と起こるというのは楽観的過ぎるのでは。
運営者 そりゃもちろん。だけどいちいち誰かが監督するわけには行かない。それこそ役人にやらせちゃダメです。それを担保するのは、ダメな組織は競争に負けて自然に潰れるというシステムなんです。私の「起こると思いますよ」という言い方は、その辺の意識を反映してますね。
そういう意識と組織形態の同時変革の動きの中で、所属組織を絶対視しない姿勢も生まれてくる。組織を去る人間、新しくやってくる人間を自然に受け容れたり見送ったりできるようになるはずです。個人の業績評価や報酬体系も成果主義的になってくる。新日本人が大量に生成されるプロセスが徐々に出来上がってくるはずです。
飯坂 例えば、株式の持ち合いが禁止されていたら、こうはならなかったかもしれませんね。あるいはみんな、自分に求められている役割をきちんと果たしてくれば、こうはならなかったかもしれないと思います。
運営者 またくそのとおり。だけど飯坂さんの「こうはならなかったかも」というのは、現在の日本経済の状況が悲惨かつ末期的であるという認識の元に立った表現ですが、旧日本人はそういう認識すら持っていませんからね。
彼らにとってみれば現在の秩序を保つことが最優先ですから、経済状態が悪いことを認めてしまうと、秩序、ひいては自分の仕事がぐらついてしまいます。それを避けたいがために、未だに「日本経済は大丈夫だ」と言い張っているわけです。大蔵省が、民間シンクタンクの経済予測に一生懸命介入して、高めの経済成長率を出させようとしていたのも、それが理由だと思いますね。