「日本人の宗男体質」ルポ
インタビュアー 飯坂彰啓
運営者 それで、これも飯坂さんが奨められていた『総検証日本人の宗男体質』を読んだんですけれど、これもすさまじいですね。
飯坂 生々しいでしょう。
運営者 ムネヲの選挙区である北海道5区をルポしたものです。それでここに出てくる人たちは、学者やジャーナリストなど客観的に選挙区の実状を分析できる立場の人もいますが、反対に口を開けて仕事が降ってくるのを待っている立場の人もいます。
僕がこれを読んで感じたのは、牛肉や海産物の偽装事件が起こる、その精神的な土壌と全く同じものですよ。経済合理性を全く無視した形で、役所が決めた資源の再配分がなされている。
経済原則の無視と、消費者のブランド信仰と、供給側のプロ意識のなさと、世の中の流動性のなさが問題の原因ですね。
飯坂 偽装や不当表示をするような業者は牛肉の買い取り制度を、正当な理由のあるものとは受け止めていないでしょう。はっきり言って政治力を駆使したから「カネが降ってくるんだ」としか考えていないのでは。それがビジネスモデルだとでも思っているのでしょうか。
運営者 もし空からカネが降ってきたら、「世の中おしまいだ」と考えるのが通常のセンスでしょう。
もっと問題なのは、偽装は彼等のプロ意識のなさ、自助意識のなさの裏返しだということですよ。
飯坂 旧日本人たちのプロ意識というのは、「輸入牛肉の買い取り制度ができたら偽装のひとつもできなきゃだめだ」ということでしょう。「プロであるならば、世の中の裏にも通じていなければならない」と考えているはずです。ルールを守るなんてことは考えていないですよ。プロ意識の捉え方が違うんですよ。
ルールが守られる競争環境は大変重要な社会インフラです。不正を働くことは誰だって考えつくけど、それが許されない、利益にならない、というのが本来の規制のあるべき姿なのでしょう。
運営者 まったくそう思います。
そういう選挙民のプロ意識や常識のなさに、国会議員や地元の議員、役人どもがたかっているという図式です。