ご存じの通り、わたしは昨年4月来名古屋に引っ越して名古屋生活を楽しんでおります。
当地はすばらしいところです。何より人間がいいです。若者に至るまで、みんな親切でやさしくて、礼儀正しいです。なんせ地下鉄の駅員さんが、自動改札を通るたびに「ありがとうございました」とお礼を言ってくれるんですから驚きです。たまには引っ越すのもよいものだなと知りました。
関東にいたのではわからなかったことがあります。それは、この地域は非常に古い文化の蓄積を持っているということです。
名古屋自体は400年前につくられた町ですが、そのすぐ隣にある、毎月遊びに行かせてもらっている甚目寺(じもくじ)は1400年前にできた寺で、創建以来場所がまったく移動せず、地域の中心になってきました。白鳳期以来の文化財を多数所蔵しています。つまり奈良や京都より古いということです。草薙神剣のある熱田神宮なんか「1世紀創建」と言ってますからね。
この地域の古くからの文化は、ものづくりに反映されていると思います。関でつくる日本刀は一人の職人がつくっているわけではなくて、数人の熟練職人の手で仕上げますが、そういう職人同士が同じ町内に住んでいて見事に連携するという産業集積が、古来からあるわけです。これは高度なものづくり文化の事例です。
その文化が自動車製造だけでなく、ロケットエンジンやボーイング787の機体製作などの、最先端のものづくりを支えているのだと思います。これは歴史のない外国には一朝一夕にマネのできるものではないでしょう。
名古屋には、週に一度程度は出張帰りなどの方が立ち寄っていただくので、東京にいたときよりもむしろ人に会っているくらいです。またわたしも東京にも大阪にも頻繁に出張しています。名古屋はその意味でも非常に便利なところです。
ぜひみなさんも、名古屋で夕方時間が空いたときは、お気軽にお声掛けいただければ、名古屋飯にでもお連れ申し上げますよ。
今年もぜひよろしくお願い申し上げます。
2012年正月
岡本呻也