のど元過ぎれば熱さを忘れる。きのう寝る前に思い返していたのですが・・・
3/11の夜、テレビの報道番組は、福島第一原発が電源を喪失したことを報道していました。
原発で電気がなくなって、冷却ができなくなると炉心溶融が始まる。もし格納容器が壊れて放射性物質が大量に環境に漏れたら、広範囲が汚染されて使えない土地になるし、逃げ遅れた人は健康被害を受ける。3基の原子炉がそうした状態にあるというのは、東日本が壊滅するのに十分で、これは日本がこれまで直面したことのない危機的状況です。
戦争より悲惨なことです。通常兵器であればどんなにミサイルを撃っても破壊力はたいして知れていますが、放射能汚染は根こそぎですから。
ですんでわたしは原子炉が爆発したらすぐ逃げられるように準備していて、1号機が爆発した後すぐ車に乗って逃げたのですが、「高速道路は大渋滞かも」と焦っていたら、ガラガラなんですよね。
3号機が爆発したときは「日本終わった」と思いましたが、意外とみんな平気なんですよね。
これにはホントに驚いたのですが、逆に言うとみんな原発の恐ろしさについての危機感がまったくないんだなあと愕然としましたよ。つまり常識がない。非常識ということです。
大多数の人がそうなのだから、「放水銃で冷やせばいい」程度の安全基準で原発を再稼働させようとしているのもまあ当然かなあと納得できます。
でも、福島原発由来の放射能による健康被害の顕現はまだまだこれからだと思っていますが、今回の事故は格納容器があからさまに損壊せず、放射性物質が爆発的に流出しなかった(まあ、ホントのとこはどうなのかよく分かりませんが)だけでもかなりラッキーなことだったんだと思いますよ。まさに天佑です。
日本中にくまなく設置されている50基の原発、地震や何らかの衝撃で、電源がなくなったり、複雑に配置された冷却装置が破断したら、即カタストロフィにつながります。おまけに今回のように復水器を手動で止めてしまうようなヒューマンエラーも加えて考えると、このような巨大なリスクに対して、ここまで心細い備えでGOサインを出すというのは、まともな判断とは思えません。
「日本で原発を稼働するのは危険である」というのは予見可能性の範囲内の話だと思います。
福島原発の警鐘を無視して、再度失敗したらバカです。しかも次の失敗は、恐ろしく高くつくものになるでしょう。
この福島原発事故を、外的なノイズや圧力から自由な立場から、逃げずにきちんと正面から評価する知恵が必要だと思いますけどね。これは何も特別なことではなくて、文明人としてふつうの態度でしょう。
原発が安全かどうか考えるときに思い出すべきなのは、311の直後、日本が戦後最大のピンチに立たされたときに感じた恐怖感ではないでしょうか。
あの時、平気の平左だった人は、その認識でホントに正しいのかきちんと考えるべきだと思います。やらないだろうけど。