われわれがよく知らない間に、マイナンバー制度の導入準備が進められていますが、そうそうすんなりいくもんですかねえ。
このマイナンバー、源泉徴収票に書かないといけないんだそうです。一生モノで、漏れたら悪用の可能性があるため、企業は社員のマイナンバー管理のため、情報投資に追われていて、ベンダーは2000年問題以来の特需に沸いており、「マイナンバー銘柄」が市場を賑わせています。
「マイナンバーの適切な管理のために必要な措置を講じなければなりません」だそうです、はあ。
でも、わたしなんか個人に対して仕事を発注していて、申告のために渡す源泉徴収票は作成を税理士に依頼してますから、税理士~わたし~本人の間には、マイナンバーが漏れるリスクがいくらでもあります。いくら税理士が国税の婢僕でも、中には漏らすやつがいますよ。弁護士だって悪いことする奴いるんだから。
それで「マイナンバーが漏れた」と言われて、訴えられた日には目もあてられません。
なんで税金徴収のコストをそこまでしてわれわれが負担しなきゃいけないんでしょうか?
だったら源泉徴収制度なんか廃止して、完全申告制にしろよって話ですよ!
「サラリーマンだから関係ないもん」と思われるかもしれませんが、これからは手続のために、マイナンバーをネット上で入力しなきゃいけない場面がいくらでも出てきますよ。
こんなの、フィッシング詐欺の温床じゃないですか。銀行のパスだって漏れまくって中国に不正送金されてるのに、何が起きるか火を見るより明らかです。
どんな目にあっても、もちろん「自己責任」です。役人のくせに引っかかる奴が続出するんだろうなー
それからたぶん盲点なのが、まず社会保障分野の情報が共有されるわけですが、零細な事業者の中には、雇用者の社会保険分を自分ががめちゃってる経営者がけっこういます。そういうのがキレイに洗い出されることになるでしょう。
それは単なる横領で、摘発されるケースはたくさんあるのですが、もし過去の保険分を雇用者が支払えなければ、会社が潰れちゃうんですよね。
「悪いことをしているのだから当然」とは思いますが、もしそのような労働集約的な零細事業者が底支えしている産業セクターがたくさんあったとしたら、そしてそういう零細業者がたくさん廃業してしまったら、実は経済に大きなダメージを与える可能性があります。
こういう産業構造はなかなか見えてこないことです。そこのところはちゃんと計算しているのか、なんらかの激変緩和措置をとるのか、弾力的運用をするのか、そういうのは公平なことなのか、・・・なんてことは考えて導入してるんでしょうかねえ。
もしこの制度が社会に与えるそうしたインパクトが政治問題化した場合には、「やっぱり、これやめたほうがいいんじゃない」もしくは「導入を延期すべきだ」という話が出てもおかしくないと思いますよ、グリーンカードの時みたいに。