新日本人「4つの条件」2
おやじ そんなこと言っても、自分の仕事の相手は限られた人間だけだから、全体利益の考えようなんかないじゃないか。
若造 自分の周囲しか見ることができない人は、「部分最適」に陥っていくんだよ。しかも見ている世界のことは説得力が強いから、部分最適を主張する人たちの声は力強いよね。利益誘導政治家がいい例だよ。
だけどそれはほんとはまちがっているんだ。ぼくが仕事の相手として接している人は、また別の仕事相手を持っているわけで、その人はまた別の仕事先を持っているわけで、そういうふうにして自分は仕事を通して社会全体につながっているということ理解していないとね。
そう考えるとどんな人でも全体利益を考えて行動しなければならないということがわかるでしょう。
おやじ はあそうですか、それから?
若造 次に新日本人は、必ず「経済合理性」を持っていなければなりません。経済合理性というのは、「早い安いうまい」のが一番よいということ。その三拍子揃っていないことは、選択してはならない。それを意識していれば、「効率性」「生産性」を常に考えるようになるでしょ。
例えばある会社のメインの商品が三400円だったとする。タクシーに乗る時に、「ここでタクシーに乗ったら、それで節約できる時間や労力によって、商品3個分の売上げにつながるプラスがなければならない」と考えるかどうかということ。
すごく当たり前なことなのに、旧日本人はこの原則を無視して行動しがちだ。例えば他に較べれば高い値段で売りつけられているのに古くからの取引先を大切にするとか。旧日本人は「既存の秩序を保つ」こと以外には目的がないから目的自体がいい加減だし、そこに至る道筋もきちんと計算せずに、何となく仕事を始めてしまう。だから経済合理性を無視できるんだろうね。しかし、そういういい加減な仕事をやっていると、不合理なことが放置されたままで改善されないし、自分の会社の持っている資源がムダになるので結局自分が損をすることになるんだよ。だけどその損が目に見える形になっていないから、ムダが放置されていても気がつかないんだね。
おやじ そんな面倒なことを言わなくても、会社がちゃんと存在していれば問題はないと思うんだがな。
若造 新日本人が考えているのは自分の仕事であって、会社の存在ではない。仕事は儲からなかったら無意味なんだ。だから結果的に利益が出せる仕事をするので会社に利益を与えるだけであって、私日本人は会社の存在を意識せずに生きてるんだよ。
おやじ 忠誠心のない生き方というのがあるのか。だから態度がでかくなるんだな