金融機関に製造物責任はないのか?
運営者 悪意のありなしは問題じゃないんじゃないですか。問題は深刻な金融危機が現実に起こってしまったということであって。
いや、悪意=故意性がないと犯罪の構成要件が足りないということなのかな?
飯坂 つまりこの文章の中では、いつのまにか「金融機関側が悪意を持っている」ということが前提になっているように見えます。
運営者 「このような金融商品を扱っている業者は悪かもしれない」という話が、いつのまにか「悪である」ことが前提になっているということですねえ。出来の悪い大学生が書きそうなアジビラみたいになってきたぞ。
一般の商品に関しては、ほんの少しでも危険性のある商品を販売したメーカーは自己負担ですべてを回収するのは当然と誰もが考えているし、それを支持する法律も整備されている。だからこそ、消費者は何も心配しないで商品選びができる。
いやあ、消費者は「賢い母さんかっぱえびせん」じゃなきゃいけないわけで、別に何も心配しないで食べた物に当たったら文句を言うというのも、おかしな話ではあると思いますけどねぇ。
飯坂 だからこそ、消費者は何も心配しないで商品選びができる。その背後でメーカーは事故を起こさないように常に厳しい検査体制をとり、膨大な検査データと日々真剣に向かい合っている。現実のデータと合わない商品が平気で売買されている金融の世界では、そのようなメーカー側の地道な努力がすっぽりと欠如し、安易に根拠の乏しい公式を使うか、あるいは、きまぐれな市場の成り行きに任せているのが現状である。
金融の世界では、そうしたメーカーのような努力を怠っているということが問題にされているわけですね。
言いたいことはわかります。金融工学のモデルが、必ずしも現実の市場を完璧に解明できているわけではないし、すくなくとも単一の市場の動きを問題にするのであればフラクタルを使ってみてくださいよということは、この文章からメッセージとして伝わってくると思います。
運営者 過去の失敗を反省し、科学的な警告を真摯(しんし)に受け止めて対策をとっていれば、金融以外の全産業にまで被害を広げることなく嵐は過ぎ去ったかもしれないのだ。
というのもどうもなあ。それはまた別問題だと思いますが。
飯坂 金融の根本的な信用回復に必要なのは、売り手側に対し商品に関する厳しい責任を持たせて悪意の入る余地を残さないようにすることだ。
つまり金融機関側の悪意によって、毒入りの商品が流通して百年に一度の金融危機が招来されたと読めてしまいますね。
運営者 だけど金融機関側にまったく悪意がなかったと考えた場合に、彼の論は全く意味がなくなってしまうのでしょうか? つまり売り手側に対して商品に関する厳しい責任を持たせる必要は全くないということなんでしょうか。そこが私が一番興味があるところなのですが。