売り手責任は仕事の欲しい弁護士が確立した
運営者 それも、アメリカの株の空売りって、日本の株の空売りとは違って、現物の手当てをしなくても空売りできるんだそうですね。
飯坂 そうですよ。
運営者 つまり、借り株しなくていいから、発行されていない株の分まで空売りって売り浴びせられるわけで、どう考えても変ですよ。
飯坂 それで、それっておかしいよねということになって、CFD「Contract for Difference」「差金決済取引」なんてのも出てきたわけです。
日本では、純粋な空売りはできないので、株を借りてきて日歩を払いますよね。アメリカの場合は、アップティックルールというのがあって、ビットとオファーがあったら、それが上がっているときにしか売ってはならないといったルールがあります。
運営者 複雑ですね。
飯坂 日本でも、現実に発行されてない株数を売ってしまった某証券会社もありますが。
運営者 そりゃ、間違った売り注文を出してしまっただけで(笑)。
飯坂 それで話を戻すと、金融機関と食品メーカーと何が違うのかと聞かれると、これはもうPL法の範囲外だからとしか言いようがないですね。
結局売り手責任というのは、PL法によって担保されるので、この論文にあるような「科学者の不断の努力」というよりは、弁護士のエネルギッシュな努力によって勝ちとられた権利なんです。
運営者 そうなんでしょうねぇ(笑)。
ところでPL法については、法律を作った役所側が適用範囲を限定しているわけです。それで金融商品は入っていない。それも事実です。
しかしそれと、「金融商品の作り手側には製造責任はない」という話は、これまた別問題だと思うんです。
飯坂 それはそうでしょう。今は、金融商品取引法ができたから、「金融商品」という概念は成り立ちますが、それ以前は、株は株、債券は債券とバラバラの商品で、それらは証券取引法で規制されていたから、PL法より前からあったわけです。
運営者 その割には、何か随分いろんな事件があったような気がしますが。損失補てん問題とか、営業マンが預かり資産を使い込んでしまうので顧客のところに年2回運用報告書が届くようになったりとか、不祥事が起きるたびにサービスが改訂されてとっても先進的なサービスになってきているように思います(笑)。
飯坂 でもそれも、売り手責任とは直接関係はないですよね。すべてブローカー側の問題ですから。
売っているものに関しては、ライブドアの株というケースがあります。これついては、損害賠償請求が認められるたようですね。
運営者 あれはライブドアが訴えられていて、ライブドアがホリエモンを訴えるという形ですよね。